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Q1:円は安全通貨と言われていますが、日本国内に住んでいると少子高齢化、派遣増加、莫大な政府の借金など、日本のネガティブなことしか聞かないので、なぜ円が安全通貨と言われているのかピンときません。
最近は、原油安で、貿易収支等もよくなっているみたいですが、震災で原発が止まった後は、貿易収支等も赤字だったと思うのですが。なぜでしょうか?
A1:信用リスクの面から見ると、低金利とは安全性が高いことを意味します。日本の場合は、個人の金融資産を背景に、国内で資金が調達できるうえに、資金需要が少ないために低金利が続いています。
しかし、日本国債の格付け順位は現在25位で、韓国や中国よりも下にいます。6月13日には3大格付け会社の1つ、フィッチが見通しを引き下げましたが、円は安全通貨として買われました。しかし、格付けとは債務不履行に至る可能性の低い順ですので、とても円が「安全」とは言えません。
では、なぜ安全通貨と言われるかと言えば、1、「過去の栄光」、2、「思考停止」、3、単なる「リスクオンの巻き戻し」が、「質への逃避」と報道されることで「安全通貨と誤解される」ことかと思います。
1、日本経済は一時的にNo1などと称されたことがあり、当時は、本当に安全通貨でした。また、持っていることで、値上がりもしました。
2、世界的に学歴優等生の方が「思考停止」に陥りやすいと私は見ています。つまり、「円は安全通貨というのが定義である。そのことを踏まえて、次の問題を解け」という設問がある場合に、安全=リスクオフ=、、、などと、問題を解く方に夢中になり、そもそも「円は安全なのか」という定義を、優等生ほど疑わないからです。
なぜなら、定義を疑わずに問題回答に集中したものほど、いい大学に勧めるからです。「考える暇があったら、単語や数式の1つも覚えろ」で思考停止となるのです。また、先生方の論文を参照文献(定義)として、論理を展開すれば学位が取れるからです。
ところで、貿易収支とは輸出総額と輸入総額の差額で、必ずしも、経済的に黒字、赤字を表しません。
原発の停止で燃料輸入が増え、貿易赤字となりましたが、燃料購入のための円売りが円安トレンドをつくり、企業収益が拡大、インバウンド消費も増えました。つまり、貿易赤字の方が日本経済には貢献します。
現状は所得収支が大幅黒字、貿易収支も黒字化するなど、実需は円を買っています。簡単に円高に振れるようになった背景には、そういった背景もあるのですが、「リスクオフで買われる」と言うのが「通説」となっています。
3、「リスクオン」とは、しばしば低金利通貨を調達し、それをより高利な米ドルや資源国通貨に換えることを意味します。そして、それらの国の株式やハイイールド商品、コモディティを買うのです。
それらのポジションを巻き戻して閉じる時には、株売り、ハイイールド売り、コモディティ売り、資源国通貨売り、米ドル売りとなります。買われるのは、円やスイスフラン、最近ではユーロもあると思います。
とはいえ、最近の投機筋のポジションは「円買い」で、金利を払ってでも円高差益を狙うという「リスクオン」になっています。
Q2:英国のEU離脱はどうなりますか?
A2:以下をご参照下さい。
・EU離脱まったなし。米シンクタンク調査にみる英国民投票の「理想と現実」(MONEY VOICE)
http://www.mag2.com/p/money/14779
Q3:例えば10ロットの投資をやろうとしていて、谷越え確認後 とりあえず、3ロットの投資をしたとします。ですが、すぐに上がるとは限らず、下がった場合少し買いたくなる時があります。前回のロウソク足の安値を下回れば損切と決めてトレードしていますが、その前のロウソク足の安値を下回らない場合のみ 難平をしてロットを増やす様なやり方は間違っていますか? 10ロットやると決めたら最初からその数量を仕掛けた方がいいでしょうか。教えていただければ幸いです。
A3:ナンピン買いとは、想定外に下げたのにも関わらず、一発逆転を狙って買い増すことです。
谷越え確認で一部を買い、価格が、谷底の根拠となった安値と、買ったレベルとの間で推移していいる場合、残りを買うことは予定通りの行動で、ナンピン買いとは見なさなくてよいと思います。
買った後に上昇し、残りを上のコストで買い増す、買い乗せもOKです。
思惑が外れて、安値を下抜けた場合には、全部損切りすることを守れば、これも有効な戦略の1つです。
Q4:発注と同時に設定するロスカット・ラインはどこに設定するのが適切でしょうか?
現在発注と同時に30銭(ドル円)で自動的にロスカット・ラインを設定しています。経済指標前など不確定な状況ではトレードをしていませんので、そのロスカット・ラインに引っかかることは今まで一度もなく、それよりも前の(例:売りを仕掛けて前回高値を更新するなど)優位性が解消された時点で、成行でロスカットをしています。
何が起こるかわからないので、発注と同時に入れたいのですが、適切なロスカット・ラインの設定ポイントがよくわからない状態です。発注と同時に入れるロスカット・ラインは、優位性が解消されるポイントの5銭離れたところ、など場面によって変えた方がいいのでは? という感覚もありますが、いかがでしょうか?
A4:ロスカットは、山越え確認で売ったのなら、「売りを仕掛けて前回高値を更新するなど」で、行うのが正解です。それを続けて下さい。
これまで、ロスカット・オーダーが入らなかったのは、入らないところに入れていたからで、もっと近いところに入れていれば、付いたと思います。遠くに入れて付くと、大きな損失なりますので、それ以前に自らロスカットを行ったのが正解だったのです。
「何が起こるかわからないので、発注と同時にロスカット・オーダーを入れたい」というのは、正しいように聞こえますが、そうすれば、自らのオーダーが何かを起こすことにもなりかねません。つまり、ロスカットの所まで価格が動いて、その後、元に戻るのです。こういったことは、皆様が考えている以上に普通に起きています。
私は、ロスカットは必ずしなければならないと申し上げていますが、ロスカット・オーダーは入れない方が良いと申し上げています。オーダーを執行するのは業者です。大事なロスカットは、他人任せでなく、これまでの様に自分で行うべきかと思います。
Q5:2015年1月16日にスイスフランショックがありました。あまりに相場が変動しましたので、損切約定ができなかったり、更に強制ロスカットも執行されませんでしたので、大変だったようです。なぜ強制ロスカットが執行されなかったのでしょうか?
ブローカーは売注文に対してカバーされているはずだと思うのですが、カバーがされませんでした。そのようなケースを回避する方法はありますでしょうか?
A5:「通常の変動幅だと執行される損切りオーダーが、異常な変動幅だと執行されない。通常時には、短時間でも評価損が膨らめば執行される強制ロスカットが、異常な値動きで、長時間にわたって評価損が広がり続けても執行されない。これでは何のためのリスク管理かが分からない。あってはならないことだ。」
そんなことが、実はあるのが、相場です。以下は、私の知識や体験してきたことから推測です。特定のFX業者や銀行を指しているわけではありません。
そのようなことが、なぜ起きるのかを、あなたが残したオーダー、あるいはポジションの流れを知ることで、理解して頂きたいと思います。
あなたはFX業者と取引します。FX業者の業態はブローカーで、取次の仲立ちを行います。つまり、あなたが行った取引は、実際には外為銀行と行っています。
外為銀行は他の外為銀行や、輸出入企業、機関投資家と大口の取引を行っています。一回の取引にかかる人件費を含むコストは金額の大小に関わらず、ほぼ同じです。なので、外為銀行にとっては、大口取引の方が、コストパフォーマンスがいいのです。
それで、海外旅行者などが外貨を購入する際には、流動性の最も高いドル円でさえ、1円の手数料を取ります。他の通貨だと、その数倍も取ります。支店はそういった小口の外貨取引を集めて、本社、本店の外為ディーラーに渡します。それだけ手数料があれば、外為銀行にとっては収益の見込めるビジネスとして成り立ちます。
具体的に外為銀行のどこが、どの部署が、FX業者と取引しているのかは知りませんが、外為ディーラーは基本的に小口の取引を好みません。ましてや、FXのビッドアスクはミニマムで、手数料はほぼゼロです。
FX業者と取引する外為銀行は、大口の顧客を持たないところか、大手だとすれば、FX業者専門のカスタマーディーラー(セールス)の窓口を設けている所だと思います。そこで、小口をそれなりの金額にまとめて、外為ディーラーに渡すのです。でなければ、機械で処理するシステムを構築しているのです。
これは通常の値動きだと機能します。損切りオーダーや強制ロスカットが無事に執行されるのは、その為です。しかし異常時には、おそらく機械では処理できません。誰も機械に対してレートを提示しないので、レートがなくなるからです。
また異常時には、外為ディーラー自身が自分や自社の他の部署のポジションのオーダーでてんてこ舞いです。大口の優良顧客の相手もしなければなりません。彼らとは、昔からの、またこれから先も、長く付き合っていく相手だからです。
外為ディーラーにとって、FX業者はどうか? FXのビッドアスクがミニマムであることを鑑みると、仮に大口にまとめてくれる業者でも、それほど優良とは見なしていないかもしれません。後は、担当者同士の人間関係だけです。もし、そのFX業者が外為銀行の担当セールスと良好な関係を築けていなかったら、あるいは築いていても、その担当セールスが自社の外為ディーラーに軽く見られていたなら、外為ディーラー自身が生きるか死ぬかの瀬戸際の時にリスクを取っての、レート提示は期待できません。そのような時のディーリング・ルームは、大喧嘩になっているのが常です。
相場だけに限らないとは思いますが、最後の拠り所は人間関係なのです。
FX取引を行う人は、自分が顧客だと思い、完全なるサービスを期待します。ところが、どこの世界に手数料を払わない顧客がいるのでしょう。その意味では、FX業者のビジネスは、なかなか厳しいのではないかと推測します。
そういう状態で、異常な値動きの時に、顧客と外為銀行との板挟みになるのが、FX業者です。FX業者は仲立ち人ですから、カバーできずに損失が出た時には、顧客か、外為銀行のどちらかに損失を受け入れて貰うしかありません。そういった究極の選択に迫られた時には、長く付き合える相手を選ぶのは自然です。
リスク管理としては、高レバレッジを含む、大きな資金を使う時は、ポジションを持ち越さないこと。持ち越す時は、強制ロスカットが入らないような、なくしてもいいような金額にして、損切りオーダーは入れないことです。
損切りは大切ですが、損切りオーダーはメリットよりも、デメリットの方が大きいと言うのが、外為のプロップ・ディーラーとして、有利な立場でいた時にでも、痛感していたことです。
Q6:損切のメリット、デメリットについて教えてください。
A6:単純な確率だけを見ると、相場での上げ下げは共に50%の確率です。小さな波動も含めれば、この確率が60%、40%に偏ることはまずありません。にも関わらず、多くの人(6割以上)が相場は儲からない。大損したと嘆いています。これは、ある意味で、不思議なことです。
買って下げて、大損した人がいるとすれば、そのやり方で、自分が売り手に回っていれば大儲けできていたことを示しています。つまり、売って下抜けしたところで、ずっと様子を見ていればいいのです。ここですぐに買い戻してしまえば、利益はミニマムで、なかなか儲かりません。
大儲けが難しいという、反対方向から見ても明らかなのが、大損は避けられるということです。どうすればいいか。この場合は、下抜けでの損切りです。
損切りは、損の拡大を防ぐために行います。下抜けなどで、評価損が拡大しそうな時には、損切りにより、損失をミニマムに抑えることができます。これは、明らかなメリットです。
ここで注意したいのが、損の拡大がそれほど懸念されないような時には、損切りによる損失確定はデメリットでしかないということです。そのような場合には、損切り価格が最安値となり、その後、急騰するようなことも起こります。
難しいですよね。難しいので、私も一般的にお話しする場合には、「損切りは最も大切だ」と申し上げています。兎にも角にも、損失の拡大を防ぐことが大事だからです。しかし、個別のケースバイケースのご質問には、損切りは重要だが、損切りオーダーは、メリットよりも、デメリットの方が多いと申しています。
損切りと、損切りオーダーの、どこが違うのか?
損切りはあなた自身が行います。損切りオーダーの損切りは、あなたが託した業者が行います。ここが決定的な違いです。
あなたが行う損切りは、下抜けなどで、評価損が拡大しそうな時に行います。業者が行う損切りは、下抜けなどで、評価損が拡大しそうな時だけでなく、損の拡大がそれほど懸念されないような時にも行います。むしろ、業者にとっては、そのような時に損切りオーダーをつけることが、大きなメリットとなるからです。あなたのオーダーは最安値で執行されます。買うのは、その業者です。
例えば、あなたが104円99銭に損切りの売りオーダーを置くとします。105円台には買いオーダーが並んでおり、105円台は守られそうな雰囲気であったとします。
そういった時、ディーラーは105円の買いオーダーを潰そうと、売りで攻めます。そして、一瞬でも105円を割り込めば、損切りオーダーが執行されます。ディーラーは自らの売りポジションの買い戻しを、あなたの損切りオーダーで行うことができます。特にロンドンのディーラーには、そういったことで食っている人達が大勢いるのです。その後は、105円近辺で買いたいと思っていた人が続々と表れて、場合によっては急騰します。そうでなくても、安く買っていれば、どこかで利食えます。最安値で売ったのはあなた。最安値で買えたのは、あなたが託した業者です。
私の場合には、東京の外資系に勤めていた頃、同じ会社の仲間だからとロンドンやニューヨークに預けていた損切りオーダーが、そのように食い物にされることが続いたので、105円などのレベルに来た時に起こして貰うように改めました。
私はそれ以降、寝る時にはポジションを軽くし、ここを超えたら大動きが予想されるようなレベルで起こして貰いました。そうすると、損切りをする必要がないどころか、そこから攻めの買いを入れることも可能となりました。
個人投資家の方々は、夜中に起こして貰うことは難しいと思います。その場合のリスク管理は、眠る時にはポジションを持たないか、仮に大きくやられても、許容できるような小さなポジションにするかだと思います。
リスク承知の損切りオーダーを入れてでも、明日は必ず上がると思えるような相場環境は、それほど多くないと思います。
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