日本政府は、3月末が期限とされるアジアインフラ投資銀行(AIIB=Asian Infrastructure Investment Bank)への参加表明を正式に見送った。
米国なども参加していないが、アジア諸国で参加しなかったのは日本と、北朝鮮くらい。北朝鮮の場合は、金融市場が不整備だとして、中国の方から拒絶されたとあるので、実質は日本だけが不参加となった。
日本政府はアジア諸国のインフラ整備に協力したいとしているが、ファイナンス面では独自の道を歩むことになった。日本政府が主張するように、AIIBの審査基準が不透明で緩いとすれば、厳しい日本基準ではファイナンスができなくなり、インフラ投資ができなくなる。つまりは、協力は掛け声だけだったということだ。
日本は不参加を決めたわけではない。しかし、3月末期限というのは、創立メンバーの期限ということで、ルール造りにも参画できる期限だった。今後の参加は、創立メンバーが造ったルールを受け入れるかどうかということなので、カネは出すが、口は出さない、日本一流の参加形式となる。
日本が参加を見送った背景には、政府が主張するような不透明感や、国際社会一般の理解である対米追随、あるいは反中意識のどれもが一定の割合で占めていることと思う。
しかし、現実の世界では、日本のメディアが親日だと喧伝している国々や、中国の覇権主義に警戒感を示しているといわれる国々を含め、アジアのすべての国が、アジアインフラ投資銀行に参加した。日本的な考え方、日本政府や一部メディアが唱える正論は、アジア諸国に対してすら通用しない独自のものだと判明した。
私は日本政府の言う、愛国心を持つことや、自分の国は自分で守るという考え方には賛同できる。どの国でもそうだからだ。しかし、自分の主張だけが正しいとして、アジアでの共同作業に背を向けるような偏狭な愛国心は、世界のどの国からも理解されないことと思う。私も日本政府の姿勢には不安を覚える。
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