28日朝のテレビ東京の相場情報番組で、ゲスト解説者の「債券の専門家」が、増税で国債利回りが上昇する可能性は低いが、日本の将来のためには増税が必要だと述べていた。
私も、「増税で国債利回りが上昇する可能性は低い」点では同意見だ。蔵相や日銀総裁は、増税せねば世界から見捨てられて、国債利回りが急上昇すると脅しているが、これまでの格下げ時などの発言と矛盾する。これまでは、日本国債は日本人が買っているので、世界がどう評価しても売られようがないというものだった。状況は今も同じで、中長期の保有では、ほぼ国内だけで完結している。理由は単純で、利回りが余りに小さ過ぎて、キャピタルゲイン以外のリターンが得られないからだ。
蔵相や日銀総裁は過去の発言と違えてまで、また、債券の専門家はそういった「脅し」には賛同できないとしながらも、共に、増税は必要だとする。
一方で、増税は景気後退につながるので、再引き上げは見送るべきだ。あるいは延期すべきだとする識者も多い。現実に、金融危機後に増税などの財政引き締めを行った欧州は、景気が悪化しただけでなく、財政再建もできないでいる。一方、大掛かりな景気刺激策を行った米国は、法人税収、所得税収が増えただけでなく、失業保険やフードスタンプ(生活保護的な食糧券)の負担が減り、財政赤字が急減した。
増税派と減税派、両者の考え方の違いはどこからくるか?
どちらも真摯に「お国のため」を思っているとして、増税派は大きな政府指向、減税派は小さな政府指向だと区別できる。
増税派は政府により大きな裁量権を与えると、国の経済がより良くなるという考え方。減税派は国には最小限の関与でいて貰い、民間の活力に任せる方が国の経済がより良くなるという考え方だ。
これは学校で経済学を学んだ、いわゆるエリートと、毎日汗水たらして実際に顧客やリスクと向き合っている民間と、どちらを商売上手と見なすかという違いでもある。
最高学府を出た官僚が、「俺たちは偉いのだから、任せておけ」と考えるのは分かる。一方で、民間にも増税派は多いが、自分たちよりも官僚の方が(学力だけでなく)経済や商売でも優れていると、コンプレックスでも抱いているのだろうか?
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