上場来高値を更新したマクロミル(3978):成長するネットリサーチ市場の波に乗る=GLA小池麻千子

投稿:2017/05/25 23:05

上場来高値を更新したマクロミル(3978):成長するネットリサーチ市場の波に乗る

本日上場来高値を更新したマクロミル(3978)
大和証券が投資判断「1」、目標株価2450円で新規カバレッジしたようです。
どのような企業でしょうか?

同社は、2000年にネットリサーチ専門企業として創業し、インターネットを活用した「早くて安い」市場調査サービスの提供を始めたオンライン・マーケティング・リサーチのリーディングカンパニーです。

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ところで、マーケティング・リサーチとは、企業や公共機関が消費者が本当に望んでいるもの、本当に魅力を感じるものを生み出すための情報(消費者インサイト)を科学的に集めて、分析し、広告や商品計画等に反映させる手法です。

特に現代は消費者のライフスタイルやニーズが多様化し、情報の流れがとても速くなっています。
こんな状況で企業が競争に勝ち抜くためにはモノが売れる仕組みを作る「マーケティング・リサーチ」は必要不可欠です。

こうした必要性からマーケティング・リサーチは、昔から郵送や電話アンケート、座談会といった方法で行われてきました。これはオフ(OFF)ライン・マーケティング・リサーチといって、調査結果が出るまでに早くとも1ヶ月、費用は数百万円もかかっていました。コストの問題もですが、こんなに時間が掛かっていては流行に乗り遅れしまう、というのは商品開発にとって致命的です。

しかも、企業の競争が激しくなる中では、企業の意思決定はスピードが求められ、さらに価格競争にもさらされているのに、です。市場調査は時代の流れに置いていかれていたのでした。

今ほどインターネットが普及していなかったからです。

インターネットによるマーケティング・リサーチ(ネットリサーチ)は、従来の調査に比べて圧倒的に安く、しかも短期間で済むメリット、データの加工がしやすいというメリットなど、郵送によるアンケート調査をやっていては得られないメリットを実現しました。

こういったメリットから、ネットリサーチの市場規模はこの10年間で約5倍以上にも成長したのです。

日本のオンライン・マーケティング・リサーチ市場の年平均成長率は7%、グローバルだと11%(日本マーケティング・リサーチ協会)。

一方、同社の2015年までの4年間の平均売上成長率は23%と、市場に対して大きく成長していることが判ります。

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同社は、マーケティング・リサーチの工程を一気通貫して自動化する独自システムを武器に、業界シェアNo.1を握る業界最大手企業に急成長を遂げ、創業5年で東証一部上場を果たしています。

2014年、買収によって上場廃止になりますが、その間にグローバル化の推進など更なる成長に向けた準備を整え、今年3月に再上場を果たしました。

特に上場廃止直後のオランダのオンライン・マーケティング・リサーチ専業会社「Metrix Lab Holding BV」の買収は、同社がグローバル規模でのマーケティング・リサーチ事業を本格化させる、きっかけとなりました。

海外では広告に対する投資意識が高く、「Metrix Lab グループ」事業では次世代のデジタル・マーケティング・ソリューションの売上比率が33.4%に達しています。

広告代理店やメーカーなどを中心とする企業に対してサービスを提供しているのですが、その顧客基盤が強固であることもポイントです。
グローバルブランドの上位25社の内65%が同社の顧客となっており、その他90ヵ国3,800社と取引実績を持ちます。さらに、日本の大口顧客との過去4年の平均継続率が97.9%、海外が95.2%と高い顧客継続率を達成していることも、成長市場での競争力が強いことが示される内容です。

グローバルでの成長は、デジタル・マーケティング事業の拡大が掛かっていると考えます。
デジタル・マーケティング事業では、広告効果測定やSNS分析、広告表示テストなど、広告、POS、SNS、GPSを含む様々な情報源に基づく多様なデータログを活用したサービスを提供しています。
海外では日本に比べると、広告のための投資が大きいことから、グローバルでの事業拡大を目指す過程において、デジタル・マーケティング事業の育成は成長の鍵となるでしょう。

成長の為の投資が積極的に行われていることから、借入金が大きくなり有利子負債は総資産の5割程度になっていますが、純有利子負債/ 調整後EBITDA比率でみると2015年6期の7%から4.0%まで縮小が進んでいます。また営業キャッシュフローが純利益と同程度あり、コストコントロールも続けていることも評価されるので大丈夫でしょう。

ソフトバンクのような、成長事業に投資するアグレッシブな経営に見えます。

成長性を評価すれば、現在の株価水準はそんなに割高感はない、という見方もできます。
ただ、株価が跳ねたため、一度調整を待って投資に臨むというスタンスでいいかと思います。

【2017年6月期第3四半期の業績】
売上収益273億6500万円(前期比9.1%増)
営業利益 58億5300万円(同11.5%増)
税引前利益 48億9000万円(同35.6%増)
純利益  29億5600万円(同31.0%増)
一株当たり利益(EPS)77.9円(前期59.6円)
営業利益率 21.4%(前期20.9%)
4年間の年間平均成長率は23%に。
販売好調に加え、コストコントロール効いて増収増益。利益成長が顕著です。

【2017年6月期通期業績予想】
売上収益 358億円(前期比10.1%増)
営業利益  68億5000万円(同19.5%増)
税引前利益 57億9200万円(同41.7%増)
純利益   37億円(同30.6%増)
EPS  97.08円(前期74.8円)
年間配当 5.0円(同0.0円)
小池麻千子
グローバルリンクアドバイザーズ 株式アナリスト
配信元: 達人の予想