“警戒度”は増しているが、“上値の重さ”ばかりが囃されるのには違和感…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/04/06 11:00

◆一時111円台回復も、FOMC議事録で反落…

※ご注意:予想期間は4月7日と表示されていますが、本日(4月6日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


好内容の米経済指標でドル買いが先行したものの、FOMC議事録で巻き戻されました。

ISM非製造業景況指数(前月比-2.4ポイントの55.2)で上げ渋る場面こそ見られたものの、ADP雇用統計は事前予想を大きく上回り(予想:+18.5万人、結果:+26.3万人 )、ドル買い戻しが加速しました。
111円ラインを突破すると、一時111.444円まで上値を伸ばしています。

一方でFOMC議事録後は、ドル売りが目立ちました。
「バランスシートの年内調整」が“縮小前の利上げ停止”への思惑を誘ったからです。
再び111円ラインを割り込むと、東京タイムには4日安値(110.259円)に迫る水準へと押し戻されています。

◆警戒度は増したと考えざるを得ない…?

この水準まで押し戻されると、“200週移動平均線(本日は110.200円)”“3/27-28安値(110.10円水準)”さらには“16/11/9~16/12/15の50%押し(109.924円)”への意識が再び頭をもたげてくると考えるのが自然です。
割り込むと“ストップロスを絡めた急落”が懸念されるだけに、警戒度は増したと考えざるを得ないところです。
テクニカル的にも“長い上髭の寄り引け同時線(十字線)”を描いており、“上値の重さ”が意識されるのは仕方がないところです。

◆ただし“上値の重さ”ばかりを囃すマーケットには違和感…!?

しかしながら急反落のキッカケとなったFOMC議事録は、“一部にネガティブな面”が垣間見えるものの、決して“急反落するほどのドル売り材料”ではありません。
“米中首脳会談を控えたポジション調整”を意識したと考えるのが自然なところ、マーケットは“上値の重さ”ばかりを囃しています。

“リスク回避姿勢の動静”には引き続き監視が必要ですが、昨日も記したように“北朝鮮・ミサイル発射”でもリスク回避に振れることはありませんでした。
目先の“警戒感は一服”、その上で“思惑は定まらない⇒揺れ動き”という展開を基本としたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.584(4/3高値)
上値4:111.444(4/5高値、3/31~4/4の61.8%戻し水準)
上値3:111.314(週足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stレジスタンス)
上値2:111.152(日足・一目均衡表転換線)
上値1:111.000(4/5高値後の61.8%戻し、大台)
前営業日終値:110.701
下値1:110.534(4/5安値)
下値2:110.342(ピボット1stサポート)
下値3:110.200(200週移動平均線、4/4安値)
下値4:110.104(3/27-28安値)
下値5:109.924(16/11/9~16/12/15の50%押し、週足・一目均衡表基準線、ピボット2ndサポート、大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:11 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想