突っかけるか…? - 115円ラインの関門(分水嶺)

著者:武市佳史
投稿:2017/03/03 11:16

◆利益確定売りをこなしつつ、ドル円上昇

※ご注意:予想期間は3月4日と表示されていますが、本日(3月3日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


“米3月利上げの可能性”を織り込む動きは続き、昨日もドルは買われました。
「早期利上げの準備は整った(ブレイナードFRB理事)」が火をつけ、「3月利上げに十分な根拠は揃った(パウエルFRB理事)」が駄目を押した格好といえます。
もっとも“一気の上昇”というわけにはいかず、利益確定売りをこなしつつ、“ジリジリとした上昇”に留まっています。

◆懸念はいくつか残るが…?

こうして114円半ばへと水準を切り上げる中、本日は「フィッシャーFRB副議長(26:30~)/イエレンFRB議長(27:00~)講演」が予定されています。
金利先物から見た“3月利上げの可能性(織り込み度)”からは、「サプライズなしで利上げができる環境」がすでに整いつつあることを示しています。
ドル買い圧力は継続しやすいと見るのが自然です。

懸念されるのは“昨日高値(114.587円)~115円ラインの分厚いドル売りオーダー”と、そして“3月利上げに否定的な発言”です。

前者は“日足・一目均衡表先行スパン上限(本日は114.814円)”“2/15高値(114.944円)”と主要な抵抗ラインが存在し、“レンジ上限”とも重なっています。
さらに“オプション絡みのドル売り”も待ち構えているとされていますので、突破するのは容易ではありません。
一方で事前の織り込み具合を考えると、後者には“急反落リスク”が残ることになります。

◆注目はストップロスを狙う“仕掛け的な動き”の有無…!?

ただ強い抵抗ラインの存在は、“抜けた際の勢いが強くなる”の裏返しです。
前者には、懸念を補うだけの期待感が存在しています。
また「実際に利上げするか…?」を別にすれば、せっかく構築された利上げできる環境を“わざわざ壊しにかかる”といった必要性が感じられません。
“発言次第”の面がありますので“決め打ち”はできませんが、後者の可能性はかなり低いと考えます。
もう一つ、“知ったら終い(しまい)”という懸念もありますが、利上げの有無を判断する次回FOMCは“まだ先(15日)”であり、今回は軽視します。

“高値買い上がりを躊躇⇒上値の重さ露呈⇒利益確定売り先行”という動きになったとしても、“押したところは買い拾い継続”と見たいところです。
その上で“昨日高値(114.587円)超”に積み上がるとされるストップロスを狙った、“仕掛け的な動きの有無”に注目したいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:115.377(1/20高値、1/27高値)
上値4:115.090(週足・一目均衡表転換線、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:114.944(2/15高値、大台)
上値2:114.814(日足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stレジスタンス)
上値1:114.587(3/2高値)
前営業日終値:114.375
下値1:114.160(3/1NYタイム安値後の38.2%押し、100週移動平均線)
下値2:114.028(3/1NYタイム安値後の50%押し、大台)
下値3:113.897(3/1NYタイム安値後の61.8%押し、ピボット1stサポート)
下値4:113.678(3/2安値、日足・一目均衡表先行スパン下限)
下値5:113.484(2/28~3/2の38.2%押し、日足・一目均衡表基準線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:43 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想