注目の日米首脳会談!13日のマーケットは窓開けに要警戒!

著者:津田隆光
投稿:2017/02/10 20:11

トランプ政権の為替政策に定見なし?

就任早々、矢継ぎ早の大統領令を発令し、そのスピーディーな仕事ぶりを見せつけていたトランプ大統領ですが、さすがに『入国禁止令』だけは“やり過ぎ”という判断なのでしょうか。9日米連邦高裁は、入国制限の米大統領令を復活させるよう求めていたトランプ政権の申し立てを認めない判決を下し、イスラム圏7ヵ国からの避難民やビザ保有者の入国は維持されることとなりました。

自身のtwitterを通して、言わば「三権分立」に対して挑戦状を叩き付けていたトランプ大統領ですが、今回の高裁判決を受けて最高裁に持ち込まれる可能性が高まる中、法廷闘争が長引くことはトランプ政権にとっては大きな打撃となり得ます。

ここへ来て、トランプ大統領の“独走ぶり”に対しては身内からもネガティブな意見が出ており、先に三顧の礼を以てして米連邦最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチ氏が、トランプ大統領による度重なる司法批判に対して「失望し、やる気をそぐ」と発言したことは、今後大きな波紋を呼ぶ可能性も。(トランプ大統領自身は、自身のtwitterでいつものように「フェイク(偽)ニュース」と批判しています。)

そんな中、百戦錬磨のビジネスマンであるトランプ大統領は、これらのピンチをチャンスに変える方策として、10日からの日米首脳会談を上手く利用する可能性もあり、米国の貿易赤字削減のカウンターパートである日本から、どれだけ多くの“成果”を引き出すことができるかが重要なポイントとなりそうです。(我々の血税が単なるトランプ大統領の“点数稼ぎ”に遣われないことを祈るのみです・・・。)

その“点数稼ぎ”の一環なのでしょうか。9日、米航空大手首脳と会談したトランプ大統領は「向こう2-3週間に、税および航空インフラ開発に関して目を見張るような発表を行う」と述べ、マーケットの好餌(香餌)とも言える“減税”“大型インフラ投資”というワードをチラつかせることで、投資家の期待感を高めるというリップサービスも抜かりなく行っています。

一方で、「マンデル・フレミングの法則」では、これら“減税”や“大型インフラ投資”の促進は結果的には自国通貨高(この場合はドル高)をもたらすとされており、その過程で発生するクラウディング・アウト効果によって理論的には民間投資の減少→株価の下落を招くとされているため、その先行きは極めて不透明と言わざるを得ません。

いずれにしても、現時点におけるトランプ政権の為替政策やマーケット見通しは不確実性要素が多く存在し、いわゆる“トランプノミクス”の目玉とも言える大型減税や規制緩和、そして大型財政出動が進展すればするほど米ドル高が進行し、その結果自身の支持基盤であるラストベルト(錆びついた工業地域)の製造業を圧迫するという厳然たるジレンマが存在しています。

今後の為替相場の動向を確認する上でも、10日の日米首脳会談、そして翌11日のフロリダでの安倍-トランプゴルフ会談の内容が動意となり得、翌週13日月曜日の窓開けスタートには用心しておいた方がいいのかもしれません。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想