3連休を前に利益確定売り、国内機関投資家は手仕舞いも

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/21 18:55

明日の株式相場見通し

 22日の東京株式市場は、3連休を前に買い手控え姿勢が一段と強まりそうだ。来週を迎えると、国内機関投資家にも年末・年始の休暇ムードが広がることが予想されるため、あすは利益確定売り機運が強まりそうだ。

 市場関係者からは「きょうは、後場に入って国内機関投資家からとみられる売りで、一時前日比119円安まで下落する場面もあったが、外国為替市場で再び円安・ドル高が強まったこともあり、大引けに掛けては下げ渋った。ただ、東証1部の値下がり銘柄数は1417と、値上がり銘柄数471の約3倍に達し、軟調地合いが際立った」との見方が出ていた。

 日程面では、分譲住宅事業および注文住宅事業のフォーライフ<3477>、稟議申請から承認に至るまでの業務効率化を図るためのワークフローパッケージ「X-point」などの開発・販売、クラウドサービスの提供を手掛けるエイトレッド<3969>が東証マザーズに新規上場する。

 このほかに、17年度予算、16年度第3次補正予算案の閣議決定に注目。
海外では、米7~9月期のGDP確報値、米11月の耐久財受注、米11月の個人所得・個人支出が焦点となる。

<動意株・21日>=JIG-SAW、RED、LINK&Mなど

 JIG-SAW<3914>=一時ストップ高。
同社はきょう、セゾン情報システムズ<9640>とデバイス監視で共同サービスを開始すると発表。これが材料視された。両社は、JIG-SAWのデバイス自動監視サービス「puzzle」と、セゾン情報のIoTデータ連携ソフトウエア「HULFT IoT」を連携することで合意。来年1月からサービス提供を開始し、18年度までに100社への提供を目標としている。

 レッド・プラネット・ジャパン<3350>=後場一段高。
この日正午ごろ、音楽ディストリビューション事業を運営する連結子会社ダイキサウンドを売却する方針を決めたと発表しており、ホテル事業への経営資源集中による採算改善への期待から買いが入っているようだ。同社は、レッド・プラネット・ホテルズ・ジャパンによるホテル事業と、ダイキサウンドによる音楽ディストリビューション事業の2つの事業を柱としているが、音楽ディストリビューションがセグメント損失を計上していることから、経営資源をホテル事業に集中させ、同事業の強化を図ることがグループの企業価値向上につながると判断したという。

 リンクアンドモチベーション<2170>=3日続伸し、年初来高値更新。
企業の人材に対するニーズが一段と高まりをみせるなか、経営コンサル分野の需要も旺盛だ。会社組織や人事コンサルティングを手掛ける同社にとって収益環境に吹くフォローの風は強い。政府の「働き方改革」も同社のビジネスチャンス拡大につながるとの見方も出ている。今16年12月期は営業利益段階で前期比2.1倍の18億6000万円を見込むが、来期も増益基調は堅持されそうだ。

 富士通コンポーネント<6719>=ストップ高。
きょう付の日経産業新聞が「リレー大手の富士通コンポーネントは、直流高電圧でも機能する新製品を開発した」と報じたことが刺激となっているもよう。記事では、電気自動車(EV)でためた電気を住宅に回すビークル・ツー・ホーム(V2H)の実現にはさまざまな部品の開発が欠かせないが、ひとつは電気をオン・オフするリレーと指摘。同社が10月26日に発表した17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算によると、リレーなどのディスクリートデバイス部門の売上構成比は約47%に達しており、V2H分野での今後の活躍が期待されているようだ。

 日本信号<6741>=大幅高し、7月28日以来の1000円大台を回復。
同社は20日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好材料視した買いが入っている。上限を300万株(発行済み株数の4.40%)、または30億円としており、取得期間は12月21日から来年6月30日まで。株主還元の強化および資本効率の向上を図るとともに、将来の機動的な資本政策を可能とするのが狙いという。

 山王<3441>=大幅続伸し、年初来高値更新。
同社は20日の取引終了後、17年7月期の連結業績予想について、純利益を6500万円から1億4900万円(前期5億5500万円の赤字)へ上方修正したことが好感されている。保有する投資有価証券の一部を売却したことに伴い、投資有価証券売却益約8400万円を特別利益として計上することが要因。なお、売上高は66億円(前期比3.0%増)、営業利益は1億2500万円(前期3億9400万円の赤字)で据え置いた。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想