利益確定の売りこなし続伸、循環物色が円滑に推移

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/13 18:56

明日の東京株式市場見通し

 14日の東京株式市場は、利益確定の売りをこなしながら、日経平均株価は続伸となりそうだ。きょう朝方は、1ドル=114円台後半という円安一服状態を嫌気して、日経平均株価は安く始まったものの、売り一巡後は買い優勢となった。14日寄り付き前に発表される日銀短観12月調査の内容は、景況感の改善を予想する見方が多い。

 市場関係者からは「きょうは、医薬品、情報・通信といった内需のディフェンシブ系の銘柄が集中物色された。全体相場の上昇が持続するためには、循環物色の広がりが欠かせない条件だが、今回はそれが極めて円滑に推移しているように感じる」との見方が出ていた。

 13日の東京株式市場は、朝方は売りに押されたものの、その後切り返す展開となった。日経平均株価は、4営業日連続して年初来高値を更新し日経平均株価終値は、前日比95円49銭高の1万9250円52銭と6日続伸した。

13日の動意株

 五洋建設<1893>=上値追い態勢。
25日移動平均線は下向きながら、12月相場での物色人気再燃で5日移動平均線が急浮上、ゴールデンクロスを示現し底入れ反転トレンド初動を明示している。17年3月期第2四半期累計の営業利益は計画を大きく上回り、前年同期比38%増の116億7000万円を稼ぎ出した。これは「設計変更工事の対価を取り込んだことが要因だが、計画比で18億円も上乗せされており、通期215億円の計画は超過する可能性が高い」(中堅証券)という。来期の業績も好調持続が見込まれており、ここにきて改めて買い直す動きが出ている。

 富士通ゼネラル<6755>=急騰。
市場では「大手証券が12日付で目標株価を2800円継続でフォローしているが、これを材料にするにはインパクトが弱い。ただ、売り残が買い残を上回る売り長銘柄で需給面から上値が軽い強みがある。2100円近辺を下値抵抗帯とする往来相場にあり、ボックス下限で仕掛け的な買いが入った」(国内ネット証券マーケットアナリスト)と指摘されている。

 ハーツユナイテッドグループ<3676>=後場上げ幅を拡大。
同社は午後0時30分ごろ、子会社デジタルハーツが、資産運用サービスサイトのデバッグ案件を受注したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。資産運用サービスは、投資支援システムである「ロボアドバイザー」を活用することで、最適なポートフォリオの構築・株式売買・運用等の資産運用をすべて自動化できるサービス。デジタルハーツは同案件において、動作検証や多様なデバイスを用いた多端末検証などを実施し、今後これらの実績をもとに、金融業界をはじめ、ITの活用が加速するさまざまな業界でさらなる案件の獲得を図るという。

 ヤオコー<8279>=堅調。
同社は12日の取引終了後、神奈川県南部を中心に食品スーパーを展開するエイヴイグループの全株式を取得し子会社化すると発表しており、業容拡大につながるとの期待感から買いが入っている。同社が目標としている関東圏に250店舗、売上高5000億円の実現に向けての施策の一環として進められていたもので、取得価額は115億円に上る。なお、株式取得実行日が来年4月3日を予定していることから、18年3月期以降の業績への貢献が期待されている。

 ディー・ディー・エス<3782>=大幅高。
同社は指紋認証機器を手掛け、独自の認証技術に対する評価は高い。そうしたなか、12日にパナソニック<6752>の法人向け高耐久端末機器に指紋認証アルゴリズムが採用されたことを発表、これを材料視する買いが流入している。株価はここ急動意しているが前日は目先筋の利食いに反落していた。きょうは前日の下げ幅を気配値のまま大きく上回る急速な切り返しをみせている。

 MonotaRO<3064>=大幅高で3連騰。
同社は工具や工場用品をネット経由で販売しており、低価格で商品ラインアップが充実していることで顧客ニーズを取り込んでいる。同社が12日取引終了後に発表した11月の売上高は前年同月比で25.5%増と大幅な伸びをみせたほか、新規顧客獲得数も40%を超える伸びを示している。これを好感する買いを呼び込んだかたちだ。テクニカル的にも25日移動平均線を一気に上抜き底値離脱を鮮明としている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想