OPEC総会前に手控え、方向感に乏しい値運びに

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/29 18:26

明日の東京株式市場見通し

 30日の東京株式市場は、同日にウィーンで開催される石油輸出国機構(OPEC)総会の結果を見極めたいとのムードから買い手控え姿勢が強まり、日経平均株価は続落となりそうだ。OPEC総会で正式に減産合意が打ち出されれば、原油価格の上昇が見込まれ、米国株上昇の支援材料となりそうだ。

 市場関係者からは「先週末までの2週間にわたる一本調子の上昇局面の後だけに、適度なスピード調整を歓迎している向きもある。ただ、外国為替市場では、1ドル=112円を挟んでのもみあい推移となっており、日経平均株価も方向感に乏しい値運びが続きそうだ」との見方が出ていた。

 29日の東京株式市場は売り優勢となり、終日マイナス圏で推移した。しかし、売り一巡後は押し目買いも入り、後場後半は下落幅を縮小する展開となった。日経平均株価終値は、前日比49円85銭安の1万8307円04銭と続落した。

29日の動意株

 丸山製作所<6316>=後場急伸。
青森県や新潟県などで相次いで鳥インフルエンザウイルスが確認されたことを受けて、畜舎内を消毒する際に用いられる薬剤の噴霧機を販売する同社にも物色の矛先が向かったようだ。同社では消毒に利用される噴霧機のほか、鶏舎などの洗浄に使わえる高圧洗浄機や家畜伝染病予防のための車両消毒装置なども手掛けており、需要増への思惑が働く。

 コロナ<5909>=続伸で年初来高値を更新。
同社はファンヒーターなどの石油暖房機器の大手であり、都心でもここにわかに気温が下がるなかウインターストック関連として頭角を現している。実際、「足もとの暖房機器の販売は好調な売れ行きで、業績上振れの可能性がでてきた」(中堅証券)という。17年3月期は8.5%増収で営業利益は前期比3.8倍の21億円を会社側では見込んでいるが、数億円の上乗せ余地が指摘されている。PBR0.5倍とバリュー株としての素地も評価材料。

 ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>=大幅続伸。
同社は28日の取引終了後に株主優待制度の拡充を発表しており、これを好感した買いが入っている。従来は、毎年2月末および8月末に500株以上保有する株主に対し3000円相当の自社グループ製品を贈呈していたが、変更後はこれに加えて、2月末に100株以上499株保有で1200円相当の自社グループ製品を贈呈するとしている。

 安永<7271>=5日連続のストップ高で1777円まで急騰、株価は動意直前の水準から3.4倍に化けている。
同社株は上場した1996年の10月に1920円の高値をつけているが、20年ぶりの最高値も視界に入ってきた。同社株はリチウムイオン電池関連の一角として脚光を浴びた。正極板の製造で独自技術を駆使して電池寿命を大幅に向上させる新技術を開発したと発表したことが異彩人気化の背景だ。

 アゼアス<3161>=一時ストップ高し、2月3日に付けた年初来高値を更新。
青森県や新潟県などで相次いで鳥インフルエンザウイルスが確認されたことを受けて、防護服を手掛ける同社も関連銘柄の一角として関心を集めているようだ。同社では米デュポン社製の防護服を販売しているほか、自社製防護服も販売しており、需要増への思惑が働く。テレビ番組などで、鳥インフルエンザ対策として防護服姿で作業をする映像を見る機会が増えていることも大きなインパクトとなっているようだ。

 パレモ<2778>=大幅続伸。
同社が28日の取引終了後に発表した11月度(10月21日~11月20日)の月次売上高で、既存店売上高が前年同月比8.7%増と2カ月連続で前年実績を上回ったことが好感されている。前年に比べて早い段階で気温が低下したことから、アパレル事業ではアウターやニットを中心とした冬物商品が好調に推移した。また、雑貨事業では冬シーズン商品や生活雑貨を中心としたアイテムに動きがあり、堅調な推移となった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想