イタリア選挙と米・大統領選挙結果再集計とが伏兵

著者:木村佳子
投稿:2016/11/27 16:54

株価全般に強いものの、伏兵の存在も意識

アメリカでようやく大統領選挙が終わったと思ったら、「選挙結果を再集計してほしい」と資金を集めた人物の訴えが認められ、11月第5週後半から再集計が開始されることになりました。

もし、再集計の結果、「実はクリントンさんのほうが票が多かった」ということになれば、なんと!
大統領はヒラリー・クリントン氏になる可能性もあるので、もし、そうなら大変です。

また、週後半になればなるほど、イタリアの選挙リスクが意識されます。

イタリアでは議会制度を事実上の一院制に変える憲法改正の是非を問う国民投票が12月4日に実施されます。

改正案は
①上院の定員を今の315人から100人に減らす。
②議員は地方代表者などで構成する。
③議決権を下院に集中させる。
というものです。

イタリアでは1947年の憲法公布以来、二院制を取り、上下院が全く同じ権限を持っています。そのため、
●審議の長期化
●政権短命化
●決められないどっちつかずの政治
の弊害が指摘されていました。
これを改めようとしているのが現在のレンツィ首相ですが、野党は「改憲反対」で首相を退陣させるための運動が繰り広げられています。

多数派は首相サイドの「改憲賛成」とされていますが、金融市場における問題の本質はそれではなく、
改憲議決→改革進行、投資拡大で景気浮揚策を取るのではないかと見られています。
改憲反対議決→既存の政党政治に反対→イタリアの貧困問題の原因はEUにありEU離脱を主張。これにかなりの支持が集まっいます。
イタリアがEUを離脱するとユーロにとっては財政状態の悪いイタリアと連結しなくてよくなり、逆にユーロには支援材料となりますが、モンテ・バスキ銀行の経営不安定に対処するためには公的資金を入れなければならないわけで、それには金持ちドイツで保たれているユーロからの離脱はできない、

と思うのですが、野党連合の「5つ星」は既成政党反対、EUからの離脱推進を狙っているらしいのです。

どちらに決定してもすっきりしないうえ、課題は残ります。

するとズバリ、選挙結果次第で、イタリアの財政状況が悪いモンテ・パスキ銀行への資金増強が中断されるのか?
金融危機に陥るのではないか?という点が懸念されるわけですが、一応、財務担当大臣は「勝っても負けてもやることはやるのだ」と表明しています(リンク先をご参考)。ロイター報道で財政担当大臣の意見が紹介されています。

そりゃ、そういうでしょう、財務大臣なら。
という点が悩ましいわけですね。

短期決戦型のヘッジファンドはこうした不安要素をトレーデディングに取り入れるのが得意です。

ブレグジッドやアメリカ大統領選挙後の為替の急展開などを見ても、株、為替の動きは複雑でしたから用心したいですね。
そこでヘッジの意味で、国際のETF VIX短期先物指数<1552>に注目です。VIX指数とは「恐怖を指数化したもの」という不思議な対象ですが、少額で売買でき、掛け捨て保険的に使うことが可能です。
ヘッジとしての機能を期待するわけなので、資金配分は「掛け捨て保険料金」を目安にする程度でいいと思います。

●買い目標は11月22日祝日前の水準
194~ 198円
●売り目標は11月9日の大統領検挙結果の瞬間高値276 円は意識されるものの、
米大統領選挙運動中の休み前を控えたときの水準、230円-250円前後とおきたいと思います。

イタリア選挙結果が否決されても可決されても、金融不安の火種は残り
しかも、新たなニュースではレンツイ首相は選挙に関係なく2018年総選挙は避けられないとコメントしたとの報道もでており、いずれにしてもモンテ・パスキ銀行の先行き問題と将来のユーロ離脱もあり得る点で不安材料はくすぶり続けそうです。
2018年といえば、ドイツ総選挙もありますし、アメリカのイエレン女史の任期満了期にもあたります。
トランプ大統領誕生の後のユーロ不安になる点で

この先もいろいろ不安定・・・。

という結論になりそうです。
配信元: 達人の予想

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