上値重く神経質な推移、米大領候補のテレビ討論会に関心

著者:冨田康夫
投稿:2016/10/19 19:12

明日の東京株式市場見通し

 20日の東京株式市場では、日本時間午前に開催される第3回目の米大領候補のテレビ討論会の内容を横目でにらみながらの神経質な推移が予想される。日経平均株価はきょうまでに4日続伸となったものの、終値での1万7000円台回復は達成できず、上値の重さを感じさせる展開となっている。日経平均株は5日ぶりに反落することになりそうだ。

 市場関係者からは「きょうで日経株価は4日続伸したものの、売買代金は低迷したままで、1万7000円台を力強く突破する相場は期待薄となっている。ただ、中期的には75日移動平均線(1万6544円=同)と200日移動平均線(1万6641円=同)のゴールデンクロスのタイミングが接近している。これが達成すれば、現状水準での値固めから上昇を示唆するシグナルとなる」との見方が出ていた。

 19日の東京株式市場は朝方軟調に推移したものの、中国の7~9月期国内総生産(GDP)などの経済指標が事前の市場想定内で、安心感から買いが優勢となった。ただ、市場エネルギーの少なさが際立ち上値は重かった。日経平均株価終値は、前日比35円30銭高の1万6998円91銭と4日続伸した。

19日の動意株

 ラオックス<8202>=大幅続伸。
18日午後に提出された大量保有報告書で、米系ファンドのテンプルトン・インベストメント・カウンセル・エルエルシーなどが発行済み株数の5.22%を保有していることが判明しており、需給思惑が働いているようだ。なお、保有目的は純投資としている。

 オンキヨー<6628>=後場動意。
同社はきょう、富士通コネクテッドテクノロジーズ(川崎市)とスマートフォンを中心とした機器開発で協業を開始したと発表、これが買い手掛かりとなっているようだ。このほど、スマホ用のオーディオ回路における出力部分について、オンキヨーのオーディオノウハウを施し、スマホでは最高クラスとなる音質を実現。NTTドコモ<9437>がきょう発表した「arrows NX F―01J」に搭載されたことを明らかにしている。

 Jストリーム<4308>=ストップ高。
一部メディアが「総務省は、テレビ番組をインターネットで同時に配信する『ネット同時配信』を2019年にも全面解禁する方針を固めた」と報じたことが刺激となっているもよう。ネット動画配信を手掛ける同社への関心が高まっているようだ。同社は放送番組のネット同時配信や放送に連動して関連コンテンツをネット同時配信するサービス「放送番組サイマル配信・放送連動型ライブ配信」を手掛け、日本初の24時間総合編成インターネット有料チャンネル「フジテレビNEXTsmart」に採用された経緯などがある。

 マルハニチロ<1333>=大幅高。
節約志向が強まるなか、外食を控え弁当に切り替える動きや電子レンジを使った家での簡単な食事が増加、冷凍食品の需要喚起につながり同社の収益に追い風となっている。また、円高により仕入れコストが低下しているほか、北米のサケ加工品事業の回復なども業績押し上げ要因となっている。19日付の日本経済新聞では「(同社の)2016年4~9月期の連結営業利益は、前年同期の2倍の140億円強になったようだ」と報じており、4~9月期としては過去最高、通期予想に対する進捗率も78%と高く、増額修正期待がにわかに高まっている。

 インベスターズクラウド<1435>=大幅続伸。
同社は18日の取引終了後、子会社iVacationが、NTTドコモと、民泊向けIoTデバイス「TATERU Phone」の翻訳機能について共同実験をスタートすると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。この取り組みは、iVacationが構築する「TATERU ECOSYSTEM(タテル エコシステム)」の第6弾。「TATERU Phone」にNTTドコモが開発した翻訳サービスを翻訳機能として追加し、共同実験を実施するとしており、有効性などを検証するという。

 環境管理センター<4657>=ストップ高。
同社はこの日、午前10時にフィールド・パートナーズ(東京都港区)と資本・業務提携を行うことを発表、これを好感している。フィールド・パートナーズは、土壌汚染対策にコストキャップ保証をつけるという独自のビジネスモデルを構築している。今回の提携により、環境管理センターが土壌汚染調査を受託した案件に対してフィールド・パートナーズの土壌汚染対策に係るコストキャップ保証サービス及び土壌汚染対策工事サービスを紹介、フィールド・パートナーズが受託した土壌汚染対策案件における土壌調査業務の環境管理センターへの委託などを行う。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想