電力自由化でプラント工事会社に商機

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/21 17:18

新電力各社の投資需要が追い風に

 16年4月からスタートした「電力小売りの全面自由化」で新電力各社のビジネスチャンス拡大が市場でも強く意識されている。その台風の目となり得る企業として注目されていたイーレックス<9517>などは3月初旬の1200円台から直近は2800円台まで上値を伸ばし、期待通りに株価の居どころを大きく変えている。

 「電力自由化」は、地域独占などの規制を緩和することにより、既存の電力会社にとどまらず業界の垣根を越えた参入を促し、企業や個人の選択肢を増やす。そして同時に供給する側も競争原理が働くことで、マーケット全体が活性化され、新たな成長局面を創出する。

 そうしたなか、これまでとは違った切り口で株価の見直し余地にスポットが当たっているのが電力プラント工事会社だ。

 規制緩和で従来の工場などの大口顧客から一般家庭向けなどの小口顧客に電力供給することができるようになり、新電力各社の対象とする裾野が大きく広がった。これが発電所建設などの投資拡大を促し、プラント工事会社の受注の絶対量を増やしている。

太平電業、ベステラなど妙味株の宝庫に

 発電所のメンテナンス工事で高実績を持つ太平電業<1968>は自家発電設備工事需要も取り込み、16年3月期の営業2ケタ増益に続き、17年3月期も5%強の増益を確保する見通し。ただ、見通しは保守的で市場では増益の公算が大きいと見る向きもある。

 また、東京エネシス<1945>東京電力ホールディングス<9501>を筆頭株主に持ち、新電力向け案件を獲得するために、従来の関東圏から全国へと営業エリアを積極的に拡大していく構えだ。太陽光発電などでも大型受注を確保している。

 大手電力会社のリプレース工事のニーズを反映した解体工事需要を取り込んでいるのがベステラ<1433>だ。老朽プラントの解体・更新需要は根強く、豊富な受注残が中期的な収益成長を支える。17年1月期営業利益は前期比8.5%増益を見込む。

 このほか、JR東日本<9020>系列の総合電気工事会社である日本リーテック<1938>関西電力<9503>を筆頭株主とするきんでん<1944>、東電系で都市再開発案件の増加など民間需要も着実に捉えている関電工<1942>、プラント据付工事会社で海外での展開力にも定評がある東芝プラントシステム<1983>などもマークされる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想