参院選後のマーケット見通しについて ~3つのシナリオ~
ドル/円はいずれにせよ「戻り売り」?
次の日曜日(7/10)に迫る第24回参議院議員通常選挙。
今回の選挙テーマが一部では憲法改正論議に集中する中、マーケット関係者の焦点は参院選の結果を踏まえた上で、月末29日に行われる日銀金融政策決定会合において追加の金融緩和があるのか、ないのかという点。そこで、今回の参院選について3つのシナリオを立てて、今後のマーケット見通しを見ていきたいと思います。
<シナリオ1>自公がそれなりに勝利したケース
自民党・公明党が合わせて61議席以上を獲得するシナリオについては、7/6時点での各種世論調査を基にすると最も有力な線となりそう。5日付の日本経済新聞の記事によると、自民党が非改選と合わせて単独過半数となる57議席を伺い、また自公で改選過半数の61を上回り70議席程度を獲得する情勢とのこと。このケースにおけるマーケットの当初反応は「株高・円安」となる予想ですが、マーケットの伝統的アクションである「Sell the fact」(=事実売り)の動きにも警戒しつつ、ドル/円は105円付近までの戻りを想定。上下限定的な動きを想定し、100~105円のレンジ予想。
<シナリオ2>自公が圧勝のケース
このケースにおけるマーケットの最初の反応はドル高・円安フローとなりそうですが、ここでも基本的なアクションはやはり「Sell the fact」(=事実売り)となりそう。ただし、このケースでは29日の日銀会合における黒田バズーカ期待はシナリオ1のケースに比べても高くなり、その期待値の高さ自体がさらなるドル安・円高フローに対する一定の“防御壁”となり得そう。
さらに、秋の大型補正予算に伴う財政出動が具体的なものとして浮上した場合は、日本株高・円安フロー、つまり“ジャパン・トレード”の追い風になる可能性も。ただし、その「副作用」に対する懸念の増大とともに、米大統領選挙時におけるドル高は再度米側からの牽制圧力が増す可能性もあり、ドル/円の上値はある程度限定された動きとなることもあり、ドル/円は週足・21MAライン付近である109円までの戻りを想定。100~109円のレンジ予想。
<シナリオ3>自公が敗北のケース
このケースでは、アベノミクスの推進力は一段と低下し、安倍政権のレームダック化が始まる可能性が大とも。この場合は、「バイ・マイ・アベノミクス」(=アベノミクスに投資しろ!)から「バイ・バイ・アベノミクス」(=アベノミクスよサヨウナラ)となることが想定され、日本株売り・円高フローが加速し、衆参ねじれ国会に伴う政治の不安定化が増大し、大型補正予算や財政出動どころではなくなる可能性も。7/29に予定される2015年度GPIF運用実績発表結果が安倍政権に対する格好の攻撃材料となり、同時に黒田バズーカに対する大きな抑止力が働くことになりそう。
このケースはマーケット参加者にとって「サプライズ」となるため、日本株安・円高フローは加速される運びとなり、ドル/円は再び100円台を割り込む可能性も考えられます。ドル/円は月足チャート・フィボナッチリトレースメント61.8%押し水準の95円付近まで下落する可能性を想定。
これらシナリオ1~3に共通するのは、ドル/円はいずれの結果が出たとしても上値は重く、基本は戻り売りであるということ。
足もとでは100円台ラインが一定の防御ラインとなることが予想されるものの、マーケット参加者の視線の先は29日の日銀金融政策決定会合となりそうです。
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