米雇用統計を前に手控え、円相場注視の展開続く

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/07 19:16

明日の東京株式市場見通し

 あす(8日)の東京株式相場は、米6月の雇用統計発表を目前にして、その内容を見極めたいとの心理から売り買いともに一段と手控え姿勢が強まりそうだ。

 市場関係者からは「前回の米5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比3.8万人増(予想は16万人増程度)と極端な落ち込みを示し、波乱を招いたことから、今月の内容に注目が集まる。今回は前月比18万人増程度と予想されているが、再度極端に雇用の減速傾向を反映する結果となった場合は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げに対して慎重姿勢をより強めるとの受けとめから、円高・ドル安が加速する可能性もある」との見方も出ていた。

 7日の東京株式市場は、一時前日比でプラスに転じる場面があったものの、総じて売り優勢の推移。外国為替市場での他通貨に対する円高進行が重荷となり、大引けにかけて下げ幅を広げた。日経平均株価終値は、前日比102円75銭安の1万5276円24銭と3日続落した。

7日の動意株

 内田洋行<8057>=後場終盤になって急動意。
同社は7日、IoT(モノのインターネット化)を活用した教育コンテンツの実用化でインテルと協業することを発表、これが材料視されている。新たな教育方法の実現に向け「教育IoT」の実装や検証を連携して行う方針で、今後の業容拡大に向けての期待が高まった。

 Aiming<3911>=後場に入って急伸。
同社はきょう、今夏配信予定のスマホ向け最新作「彗星のアルナディア」の事前登録を開始したと発表。これが期待材料となっているようだ。「彗星のアルナディア」は、指先ひとつでド派手なバトルが行える、なめらかな2Dアニメーションが特徴の新感覚スキルぶっぱなしRPG。キャンペーンとして事前登録数に応じて、ガチャを引くのに必要な「ジェム」などがもらえる。

 セレス<3696>=後場急伸。
同社はきょう正午、ビットコイン関連サービスの「breadwallet」を提供している米ブレッドウォレットと資本業務提携すると発表。これが材料視されているようだ。提携により、セレスが運営するスマートフォン向けポイントサイト「モッピー」が発行するモッピーポイントをビットコインに交換した場合に、ビットコインの管理ツールとして「breadwallet」を利用することで、安心かつ便利にビットコインを利用することができるようになるという。

 KLab<3656>=ストップ高まで買われ、年初来高値を更新。
同社のスマホ向けリズムアクションゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」の大型アップデートが5日に完了。同社は6日に、この効果で初のiOSセールスランキング1位を獲得したことや、過去最大のユーザーアクセス数を記録したことを明らかにしており、業績への寄与などが期待されているようだ。

 ULSグループ<3798>=一時ストップ高。
同社はきょう、子会社のウルシステムズがエムログ(東京都港区)のクラウド型テレマティクスサービス「VEETLE」の開発を支援したことを明らかにした。VEETLEは、営業車やトラックなどの運行状況をモニタリングするクラウドサービス。通信機能を備えた車載センサーを使って車両の速度や加速度、位置情報などを1秒おきに収集し、専用の管理画面に車両の状況をリアルタイムに表示できる。すでに提供を開始しており、飲料水配送会社や運送会社、レンタカー会社、自動車教習所などへの導入準備が進んでいるという。

 エービーシー・マート<2670>=3日ぶり大幅反発。
同社は6日取引終了後、17年2月期第1四半期(3~5月)連結決算を発表。売上高は663億5400万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は143億5000万円(同7.9%増)、最終利益は96億4000万円(同21.7%増)と好調でこれを評価する買いを誘導している。集客力のある都市部を中心に出店戦略を進め、スニーカーの売り上げを伸ばしたほか、利益面では海外子会社の収益改善などが寄与した。営業利益は前年同期比約8%の伸びを示したが、最終利益については、前年同期に固定資産の売却損益や減損損失を計上したことや、法人税等の税率引き下げなどの効果で伸び率は2割を超えた。なお、足もとの円高進行も同社にとって追い風となる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想