6日続伸の反動で売り先行、市場エネルギーの減少懸念

著者:冨田康夫
投稿:2016/07/04 18:48

明日の東京株式市場見通し

 5日の東京株式市場は、きょうまでの6日続伸に対する反動も想定されることから、利益確定の売りが先行し日経平均株価は反落することになりそうだ。日経平均株価の上げ幅は、6日続伸の合計で823円の上昇となった。ただ、売買エネルギーが極めて少ないことから、短期急騰に対する過熱感は限定的となっている。

 市場関係者からは「日経平均株価はきょうで6日続伸となったものの、東証1部の売買高は15億7950万株と今年最低を更新したうえに、売買代金も1兆6021億円と今年3番目の低水準にとどまっている。市場エネルギーが極端に少ないため、株価上昇の信頼性も乏しいものにならざるを得ない」との見方が出ていた。

 4日の東京株式市場は朝方安く始まったものの、売り一巡後は戻り歩調となり前場中盤からプラス圏に浮上した。後場は大引けに掛けては伸び悩んだものの、日経平均株価終値は、前週末比93円32銭高の1万5775円80銭と6日続伸した。

4日の動意株

 ストライク<6196>=2日連続ストップ高。
M&A(株式譲渡・事業譲渡・合併などの組織再編・資本提携など)の仲介業務などを手掛けており、先月21日 に東証マザーズに新規上場した。相続などに絡むM&Aの需要が膨らんでおり、同社が同29日に発表した16年8月期第3四半期(15年9月~16年5月)の営業利益は5億9500万円と好調だった。16年8月通期の予想連結営業利益(6億1400万円)に対する進捗率は、すでに約97%に達しており、市場には増額修正期待が膨らんでいる。

 ショーケース・ティービー<3909>=急伸。
同社は午前11時ごろ、金融領域に特化したITサービスを提供する新会社を設立したと発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。新子会社アクルは、同社の主要顧客である銀行、証券、カードなどの金融領域の企業でビックデータを活用したマーケティング支援や高度な不正利用防止、決済業務支援サービスなどのニーズが高まっていることを受けて設立。ショーケースTVの技術や研究成果、ならびに国内外の企業がもつ先進的な技術を統合し、金融領域に特化したサービスを企画・開発し、提供するとしている。

 日本エマージェンシーアシスタンス<6063>=大幅高。
バングラデシュのテロ事件発生を受け、海外における日本人顧客向け「医療アシスタンスサービス」や企業向けに「セキュリティ・アシスタンス・プログラム」を提供する同社への関心が高まっているもよう。なお、同社は2012年3月にバングラデシュに合弁会社を設立し、同国および周辺地域での医療アシスタンスサービスを開始している。

 小森コーポレーション<6349>=急伸で3連騰。
同社は前週末1日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好材料視した買いが入っている。上限を380万株(発行済み株数の6.13%)、または50億円としており、取得期間は7月4日から12月22日まで。株主還元を強化するとともに、資本効率の向上および機動的な資本政策の遂行を図るためとしている。あわせて、7月29日付で消却前発行済み株数の9.68%に相当する600万株の自社株を消却すると発表しており、これも好材料視されているようだ。

 ネクステージ<3186>=ストップ高。
同社は前週末引け後、16年11月期第2四半期累計連結業績予想の上方修正を発表。売上高は従来予想の381億1500万円から419億3600万円に、営業利益は同8億円から11億200万円に引き上げられた。会社側では、以前から課題として掲げてきた、在庫回転率の改善やローコストオペレーション、1人当たりの生産性向上について、改善途中ではあるものの成果が見えつつある状況と発表。また、特定同族会社の留保金課税が外れたことにより実効法人税率が下がったことも修正要因として挙げている。

 イーレックス<9517>=大幅高で3連騰。
同社は代理店を通じ余剰電力を買い取り顧客に販売、今年4月から開始された電力の全面自由化では新電力の台風の目として存在感を高めている。同社が電力を供給するオフィスビルや商業施設は、既に1日時点で特別高圧・高圧分野の供給施設が9000件に達した。これまでは工場や商業施設など高圧電力需要家向けに展開していたが、全面自由化を契機に一般家庭市場への参入も進めており、バイオマスの自社電源も保有していることも大きな強みとなっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想