“Brexitショック”は絶好の逆張りポイントなのか!?

著者:津田隆光
投稿:2016/06/30 21:45

今後の相場キーワードは・・・「Brexit」ではなく「Regrexit」?

先週末、世界中のマーケットを襲った“Brexit(英国のEU離脱)ショック”も一時的に落ち着きを取り戻したかのような様相となり、昨日の海外株式市場では軒並み全面高となりました。
NYダウ平均が前日比+1.64%、S&PおよびNASDAQはそれぞれ+1.70%、+1.86%となり、またドイツ株価指数のDAXは+1.75%となりました。
中でも、その“Brexitショック”の震源地である英国のFTSE100は前日比+3.58%となり、英国民投票が行われた23日の終値を上回り、4月21日以来の高値となりました。

これは、先週末に沸き起こった“Brexitショック”が一巡し、足もとの売り材料が消化されたこと、また下げ過ぎの反動を狙う“バーゲンハント”(=安値拾い)が広がったことが要因と捉えることができる一方で、ポンド安がもたらす英経済への恩恵部分も見え隠れします。

今回一連の「英国騒動」について、今後の見通しについて様々な意見が為されていますが、一つ言えることは英国民投票における離脱支持派勝利がすなわち英国の即時EU離脱にはつながらないということ。
最初の難関は英国内政治におけるパワーバランスの調整であり、極めて高いハードルと言えそうです。
与党保守党内の分裂のみならず、野党労働党でも内紛騒ぎとなっており、またスコットランドでは再び分離・独立を問う住民投票が取り沙汰されており、そのスコットランド議会ではEU離脱そのものに対する拒否権を行使する可能性も報道されています。

また、前回の国民投票で離脱支持に一票を投じた人たちから「後悔」(regret)を口にする場面も多く見受けられるようになり、一部には「Brexit」ならぬ「Regrexit」(regret+exitの造語)が出てくる始末。

昨日まで開催されたEU首脳会議において、リスボン条約第50条に基づく正式な離脱表明は9月に持ち越しとなりましたが、しばらくは英国民の「Regrexit」の成り行きを見守る必要がありそうです。

そんな中、“陰鬱博士”(Dr.Gloom) マーク・ファーバー氏曰く、「Brexit決定後の市場の動きは過剰反応」「(Brexitショックにおける相場急変は)“Brexitは望ましくない”とする市場参加者の固定観念が招いた結果」「Brexitは各国の追加緩和の絶好の言い訳になり得る」とのコメントを述べています。
“陰鬱博士” マーク・ファーバー氏の逆張り推奨は単なるポジショントークなのか、はたまた先を見越した冷静な見解なのか・・・。今後の相場展開から引き続き目が離せそうもありません。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想