自律反発期待も急落後遺症で、1万6000円挟みもみあい

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/13 19:02

明日の東京株式市場見通し

 14日の東京株式市場は、きょうの急落の反動により自律反発の買いがある程度期待されるものの、大引けに掛けて一段安となった地合いの悪さもあり後遺症が尾を引くことになりそうだ。日経平均株価は1万6000円を挟んでもみあう展開となりそうだ。

 市場関係者からは「今週相次いで開催される日米の金融政策決定イベントの内容によって想定された外国為替市場での円高進行が先取りされたかたちとなり、これに伴う株価下落もある程度織り込まれたとの見方もできそうだ」という声も出ていた。

 13日の東京株式市場は売り一色の展開。日経平均株価は、後場終盤に下げが加速し、1万6000円大台割れ寸前まで下落し4月12日以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準となった。終値は、前週末比582円18銭安の1万6019円18銭と大幅な続落となった。英国でEU離脱の是非を問う国民投票を控えるなか、事前の世論調査で離脱派が優位との観測により欧州経済の先行き懸念が強まり、ユーロ安・円高、ドル安・円高の加速が株価の大幅下落を誘発した。

13日の動意株

 ジェネレーションパス<3195>=後場に入りストップ高。
午後1時ごろに発表した5月度の月次売上高が5億3600万円となり、前年同期比24.7%増となったことが好感されている。同社ではインテリアや家具、衣料品などのネット通販サイト「リコメン堂」を運営しているが、店舗数や商品数の拡大などを背景に足もと好調に推移しているようだ。

 ヤーマン<6630>=続伸。
同社は午後2時20分ごろに発表した17年4月期の連結業績予想が、売上高171億100万円(前期比4.8%増)、営業利益12億100万円(同16.8%増)、純利益7億3300万円(同23.9%増)と2ケタ営業増益を見込んでいることを好感した買いが入っている。家電電量販店の新規卸売り先獲得の影響は一巡するものの、主力の美容健康器具が引き続き伸長する見通し。また、エステサロンなど新たな販路開拓なども期待できる。米国と中国への本格的な事業進出に伴うコストがかさむが、増収増益基調を維持する見通しだ。

 イトクロ<6049>=急伸。
同社は10日の取引終了後、16年10月期第2四半期累計(15年11月~16年4月)の単体決算を発表。売上高は23億1700万円(前年同期比32.8%増)、営業利益は7億9000万円(同51.1%増)、純利益は5億1100万円(同55.4%増)と大幅な増収増益を達成したことが好感されている。メディアサービスでは「塾ナビ」や「みんなの学校情報」、「家庭教師比較ネット」、「みんなのカードローン」などの主要ポータルサイトが堅調に推移し、また、コンサルティングサービスについても好調となっている。

 ノジマ<7419>=急反騰し、年初来高値更新。
前週末10日の取引終了後、東京証券取引所の承認を得て、6月17日付で東証ジャスダックから東証1部市場へ市場変更することになったと発表しており、TOPIX連動ファンドなどによる買い需要の発生を先取りする形で買われている。同社は首都圏を中心に店舗展開する家電量販店で、3月末時点でデジタル家電専門店134店舗、通信専門店18店舗、キャリアショップ616店舗、その他4店舗などを展開。17年3月期連結業績は、売上高4585億円(前期比0.8%増)、経常利益165億円(同10.8%増)を見込んでいる。

 ゲンダイエージェンシー<2411>=大幅高。
同社は10日取引終了後、自社株取得枠の設定を発表した。自己株式を除く発行済み株式数の4.46%に相当する70万株、3億5000万円を上限に6月13日~9月30日の期間内に市場買い付けで取得する方針。1株当たり利益の改善に努め、株主価値の増大を図る狙いだが、発行済みの4.5%は自社株買いのインパクトとしてはかなり大きい水準で、ポジティブサプライズとなった。

 神島化学工業<4026>=ストップ高。
同社は10日取引終了後に、17年4月期通期の単独業績予想を発表。営業利益は12億8000万円(前期比61.7%増)を見込み、年間配当は前期に比べ2円増額の14円とする方針を明らかにした。 売上高は223億5000万円(同2.4%増)を予想。建材事業は高級化路線を引き続き推進するほか、化成品事業は年度後半に完成する新規設備などを受けて海外営業展開を積極化する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想