日米金融政策決定イベントを注視、手控え姿勢でもみあい

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/10 19:24

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、日米両国の金融政策決定イベントが相次いで開催されることから、その内容を見極めたいとして週前半は、売り買いともに手控え姿勢のなかでの推移となりそうだ。イベント終了後は円相場の動向がポイントとなるが、日経平均株価の想定レンジは、1万6200~1万7000円とする。

 多くの市場関係者は、6月のFOMCについては「利上げは見送られる」と判断しており、7月以降の利上げスタンスについての米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の発言内容で相場が左右される可能性がある。日銀の金融政策決定会合についても、消費増税が再延期されたことなどで、大方の市場関係者は「現状維持」との見方だが、一部に追加緩和への期待もある。

 10日は株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出に伴い、東証1部の売買代金は2兆4548億円とやや膨らんだものの、SQ分を除けば閑散商いが継続している。本格的な株価上昇軌道復帰のためには、市場エネルギーの回復が必須条件となる。

10日の動意株

 アルファクス・フード・システム<3814>=ストップ高で年初来高値を更新。
複数のメディアが、きょうにも「LINE」の東京証券取引所への上場が承認されると報じたことを受け、LINE関連株を物色する動きが同社株にも波及しているもよう。同社は4月28日に、アルファクスFSの飲食店専用PC-POS「FOODα5000」を利用する飲食店舗で「LINE Pay」を用いたQRコード/バーコード決済サービスの提供を開始したことを発表している。

 神栄<3004>=大幅反発。
この日午前中に世界最速水準の応答性を実現した吸収分光式露点水分計を6月下旬に発売すると発表しており、業績への寄与を期した買いが入っている。新製品「TDLAS T-1シリーズ」は、分光分析研究の第一人者である京都大学名誉教授・川崎昌博理学博士の協力のもと、産業技術総合研究所との共同研究で、国内メーカーとしては初めて、波長可変ダイオードレーザー吸収分光式(TDLAS)露点水分計の開発に成功、製品化したもの。

 アエリア<3758>=後場急動意。
カドカワ<9468>子会社の角川ゲームスが主催するイベント「KADOKAWA GAMES MEDIA BRIEFING 2016 SUMMER」の開催を週明け13日に控え、思惑が高まっているもよう。アエリアは5月23日に、子会社のエイジとKADOKAWAがスマートフォン向けゲームアプリ「感染×少女」の開発・運営で業務提携したと発表。KADOKAWAから今夏に配信する予定している。

 エヌアイデイ<2349>=ストップ高で、年初来高値を更新。
10日付の日本経済新聞が「AI人材 電機も食指」と報じたことが刺激となっているもよう。同社は14年9月にAI(人工知能)を開発するStudio Ousia(神奈川県藤沢市)に出資しており、改めて関心が高まっているようだ。なお、Studio Ousiaは8日、開発中の人工知能による質問応答システムが、自然言語処理における著名な国際会議NAACLで開催されたQ&A形式のクイズコンペティションで、他のシステムに大きな差をつけて優勝したことを明らかにしている。

 スバル興業<9632>=急伸。
9日引け後、17年1月期第1四半期(2~4月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比11.7%増の59億400万円、営業利益は同59.7%増の11億6000万円となり、好感されている。道路事業は、関西地区をはじめ各地の道路維持工事において増工となり、増収増益となった。有楽町スバル座における映画興行が期中5作品を上映し「つむぐもの」「十字架」などが好評を博し、売上高は前年同期を上回ったほか、飲食事業やマリーナ事業の売上高も前年同期を上回り、レジャー事業全体で増収増益となった。

 ショーケース・ティービー<3909>=大幅続伸。
同社は10日午前11時ごろ、業務提携先のオープンランウェイズ(東京都千代田区)と共同で、オープンランウェイズが提供する街スクラップサービス「tab」とEPARK(東京都豊島区)が提供するCMSサービス「ローカルプレイス」とのサービス連携を開始したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。EPARKの「ローカルプレイス」は、さまざまな大手メディアへの情報掲載・ユーザ獲得ができるオウンドメディアのCMSサービス。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想