G7横目に模様眺め、テクニカル面では正念場に

著者:冨田康夫
投稿:2016/05/19 22:40

明日の東京株式市場見通し

 20日の東京株式市場は、週末に加え、21日まで開催される主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の内容を見極めたいとの姿勢から、模様ながめ気分が強まりそうだ。売り買いともに手控えられる公算が大きく、もみあい商状が予想される。

 市場関係者からは「日経平均株価をテクニカル面から見ると、5月2日に1万5975円の安値をつけて以降、小刻みながら順調に下値切り上げトレンドは持続している。ただ、5日、25日、75日の各移動平均線が極めて狭い範囲に密集している状態で、今後は上下いずれかに放れる可能性が高く、正念場にさしかかっている」との見方が出ていた。

 19日の東京株式市場は、買い優勢で始まったものの日経平均株価の上値は重く、後場に入って方向感を欠く展開となり、結局終値は前日比1円97銭高の1万6646円66銭とわずかながら反発した。ただ、東証1部の売買代金は1兆9227億円と2兆円を再び割り込んだ。

19日の動意株

 日本製鋼所<5631>=後場一段高。
18日に開催した決算説明会で、鋼材以外の新たな収益の柱として、水素ステーションや有機EL、炭素繊維複合材料(CFRP)などに注力すると発表しており、今後の成長への期待感から買いが入っている。また、きょう付の日経産業新聞では、「2016年度内には自衛隊が使うCFRP製ミサイル発射筒を量産する体制を整える」と報じており、これら新たなビジネスによる中長期的な成長が期待されている。

 ぷらっとホーム<6836>=ストップ高。
同社はきょう、自治体や工場などさまざまな業種で導入可能なIoTソリューションパッケージ「OpenBlue IoT Package」を発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。このソリューションパッケージは、IBMのIoT向けクラウドサービスを利用したもので、「屋外位置測位ソリューションパッケージ」と「屋内位置測位ソリューションパッケージ」を実現する2つのラインアップを用意。導入に必要なコンポーネント(ビーコンデバイスやクラウドサービス、アプリケーションなど)がパッケージ化されており、素早い導入が可能になる。

 大日本印刷<7912>=小幅ながら9日続伸。
同社はこの日、有機ELディスプレーの製造に使用する蒸着マスク(メタルマスク)の生産ラインを広島県三原工場に増設し、生産能力を3倍に引き上げることを発表した。2020年までに60億円の設備投資を継続的に実施し、生産能力の拡大に加えて高精細化にも対応することで、スマートフォン向けの同製品で圧倒的な世界シェアを持つ強みをさらに拡大、これにより、2020年に300億円の売り上げを目指す。

 ネクステージ<3186>=急反発。
18日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好材料視した買いが入っている。上限を40万株(発行済み株数の3.96%)、または3億円としており、取得期間は5月19日から6月17日まで。資本効率の向上および経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の遂行を図るためとしている。

 ジェネレーションパス<3195>=ストップ高。
17日に発表した北京移動納維信息科技服務(MNC社)との資本業務提携に向けた基本合意を手掛かりに、前日は一時値幅制限いっぱいまで上昇。その後はやや伸び悩んだものの、この日は全体相場の好地合いが追い風となる格好で改めて物色人気が高まっているようだ。MNC社は、中国でECマーケットプレイスの構築やEC運営代行事業を手掛けている企業。基本合意の主な内容は、ジェネパが6月末をメドにMNC社の発行済み株式の一定数を取得するほか、ECマーケットプレイスの構築および新規ビジネスの研究・推進など。

 東祥<8920>=急伸。
ドイツ証券が18日付のリポートで、投資評価「バイ」を継続しつつ目標株価を3900円から5500円へ引き上げたことが好感されている。スポーツクラブ事業を中心に積極的な出店が見込まれるほか、既存店の収益力が期待できると評価。また、同社では中期経営計画最終年度の18年3月期末にスポーツクラブ81店(16年3月期末比15店舗増)、ホテル19店(同8店増)、賃貸マンション68棟(同17棟増)を計画しており、中長期的な成長余地があるとしている。これを受けて、同証券は17年3月期営業利益予想を63億5000万円から65億7100万円(会社計画57億6000万円)と上方修正した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想