自律反発も買いの勢いは限定的、投資家の業績懸念が表面化

著者:冨田康夫
投稿:2016/04/05 20:23

明日の東京株式市場見通し

 6日の東京株式市場は、きょうまでの6日続落で日経平均株価が合計1401円安と急落したことに対する反動から自律反発の動きが想定される。ただ、外国為替市場での円高進行に明確な歯止めが掛からない限り、買いの勢いは限定的となりそうだ。

 日経平均株価は、心理的フシ目の1万6000円台を割り込んだだけでなく、終値で前日比390円45銭安の1万5732円82銭と、年初来安値をつけた2月12日以来約2カ月ぶりの安値水準にまで低下している。

 市場関係者からは「現状の円高進行が続けば、自動車など代表的な輸出企業の17年3月期の想定為替レートは、1ドル=105~110円とならざるを得ない。そうすると、輸出採算の悪化によって、営業減益見通しを公表する企業が目立つ事態を先取りして株価が下げているようだ」との見方が出ていた。

5日の動意株

 ジェネレーションパス<3195>=ストップ高。
ネット通販サイト「リコメン堂」を運営するマーケティング支援サービスが堅調なほか、越境EC事業への成長期待が高い。16年10月期は売上高75億9200万円、営業利益1億2000万円を見込む(前期は決算期変更に伴う変則決算のため比較なし)が、市場予想の平均では1億8000万円強が見込まれている。

 ニューテック<6734>=大幅続伸。
同社は4日の取引終了後、企業向けUSBストレージ(外部記憶装置)「QBOX-mini」を5月に発売すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っているようだ。「QBOX-mini」は、USB3.0インターフェースを持ち、HDDを2台ミラーリングで搭載したモデル。既に、産業機器の外付けストレージとしてOEM受注も決定しているが、今後は、既存ユーザーを中心に販売拡大を図り、初年度500台の販売を予定しているという。

 インスペック<6656>=ストップ高。
前日に値幅制限いっぱいまで買われた流れを引き継ぐかたちとなっている。1日に発表した3月度の月次受注高(単体、速報値)は4億5300万円と、2月度の7200万円に比べ6.3倍に急増したことがポジティブサプライズとして受け止められ、これが引き続き材料視されているようだ。3月度は、国内顧客数社から基板AVI(自動最終外観検査装置)および基板AOI(プリント基板のパターン検査装置)のリピート機複数台ずつの受注を獲得。また、海外顧客からAOIおよび付帯設備、ならびに新規顧客から小型AVIおよびインライン検査装置などの受注を獲得した。

 東洋紡<3101>=大幅高。
同社は紡績業界の老舗だが、フィルムや機能樹脂、産業繊維などへの多角化で業績成長トレンドを確保している。原油市況の下落による原材料コストの低下が利益面で追い風となっている。また、医療分野の研究開発に傾注している点はポイントで、遺伝子検査の精度を従来の10倍以上に高めた試薬の開発など、がんの早期発見や再生医療のテーマとも絡んで注目を集めている。

 エクストリーム<6033>=ストップ高。
同社は4日の取引終了後、デジタルマーケティング事業を手掛けるピーシーフェーズ(東京都渋谷区)から、ウエブサイト・アプリ運用支援サービスを展開するソリューション事業を買収すると発表しており、業容拡大につながるとの期待感から買いが入っているようだ。ピーシーフェーズが同事業を会社分割し、新設する分割会社ウィットネストの全株式を4月15日付で、2億7000万円で取得するという。これに伴いウィットネストはエクストリームの連結子会社となり、17年3月期業績予想に織り込むとしている。

 アダストリア<2685>=3連騰。
同社が4日の取引終了後に発表した17年2月期の連結業績予想は、売上高2089億円(前期比4.4%増)、営業利益170億円(同6.2%増)、純利益100億円(同9.6%増)と増収増益を見込んでいることが好感されている。グローバルワーク、ニコアンドなど基幹ブランドを中心に出店を強化する一方、店頭情報を起点とした企画・生産・販売の全プロセスを見直して効率化を進めるとともに、品質向上やコストダウン、リードタイムの短縮などに取り組むとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想