手掛かり難で売り買い拮抗、原油価格の動向注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/24 20:22

明日の東京株式市場見通し

 25日の東京株式市場は、引き続き手掛かり材料難のなか、週末控えでポジョン調整の売りが想定される一方で、日経平均株価続落の後を受けての押し目買いも想定されることから、売り買いが拮抗する推移となりそうだ。

 市場関係者からは「資源安による減損損失の計上で、三井物産<8031>が通期決算で初の連結赤字転落の見通しとなり、大手商社株が軒並み安となったが、原油安などが企業業績に与えるマイナス影響が顕在化したもの」との声が出ていた。日本の場合、原油価格下落でメリットを享受する企業が多いもののマイナス面の認識も必要だ。

 24日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比108円65銭安の1万6892円33銭と続落した。前日の米株式市場が、原油価格の大幅安を背景に下落したのに加え、大手商社株が軒並み大幅安となったことも全体の地合いを暗くした。

24日の動意株

 サン電子<6736>=ストップ高。
複数のメディアで、昨年12月に米カリフォルニア州で発生した銃乱射事件容疑者のiPhoneの「ロック解除」に関して、同社のイスラエル子会社セレブライト社がFBI(米連邦捜査局)に協力したと伝わっており、これを好材料視した買いが入っている。セレブライトは、携帯電話やスマートフォンなどのデータ抽出の際に使用されるリーディング機器を手掛けており、犯罪捜査などに利用されている。

 イーレックス<9517>=ストップ高。
23日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券がレーティングを新規「バイ」、目標株価を3650円に設定した。既に自由化されている高圧部門での電力小売拡大による成長がメインシナリオとし、今春自由化される低圧部門への参入では販売ミックス改善などの安定度向上と、販売増加に期待と指摘。今16年3月期は通期連結営業利益で会社側計画の15億3500万円(前期14億7500万円)に対して15億4000万円、来期を23億6000万円と予想している。

 ナノキャリア<4571>=後場上げ幅を拡大。
同社は午前11時30分ごろ、16年3月期の単独業績見通しについて、売上高を1億8000万円から2億2800万円(前期比66.2%減)へ、営業損益を26億2300万円の赤字から25億7500万円の赤字(前期11億800万円の赤字)へ上方修正しており、これを好感した買いが入っている。同社では同時にアルビオン(東京都中央区)と新たな共同開発契約を締結したと発表しているが、これに伴う契約一時金収入や、大手製薬会社との新規契約締結に伴う契約一時金収入の計上などが要因としている。

 しまむら<8227>=大幅高。
23日の取引終了後に発表した3月度(2月21日~3月20日)の月次売上高で、既存店売上高が前年同月比11.8%増と2カ月連続で前年実績を上回ったことが好感されている。入学・卒業用のスーツやフォーマルウエアをはじめとして、婦人アウターが好調に推移したことに加えて、テレビCMで放映した「素肌涼やかデニム&パンツ」の販売も良好だった。なお、全店売上高は同13.7%増だった。

 ビーマップ<4316>=ストップ高。
同社はきょう午前9時に、JR東日本企画(東京都渋谷区)やゴンドラ(東京都港区)、TWENTY FOUR(東京都港区)と共同でインタラクティブ・コミュニケーション業務を行う新会社を4月に設立すると発表した。新会社はデジタル領域のインタラクティブ・コミュニケーションを起点とし、WEBメディアの広告の仕入れ、販売、運用、それに基づくWEBプロモーションへの活用、デジタルデータの取り扱いなどのトータルなソリューションを顧客に提供する。

 ジオネクスト<3777>=反発。
同社は23日取引終了後に、子会社のエリアエナジーが開発を進めている太陽光発電所の権利を、くにうみアセットマネジメント(東京都千代田区)に譲渡すると発表。これによる業績への寄与などが期待されているようだ。譲渡するのは14カ所の発電所(北海道7、岩手県1、宮城県1、福島県1、群馬県1、埼玉県1、千葉県1、長野県1)。譲渡金額は約1億3000万円となる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想