円相場依存の地合い継続、大幅高の反動で売り先行か

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/22 18:46

明日の東京株式市場見通し

 23日の東京株式市場は、きょうの大幅反発の反動も予想され、小口の売りで日経平均株価は反落となりそうだ。

 市場関係者からは「3月期末を控えて、配当権利取りの動きはあるものの、そのほかは手掛かり材料に乏しく、円相場との連動性の強い値動きとなりそうだ。日経平均株価1万7000円前後の水準は、売り買いが拮抗するゾーンとなっており、外国為替市場をにらみながらのもみあいがしばらく続きそうだ」との見方が出ていた。

 22日の東京株式市場は、終始買いが優勢。日経平均株価は後場に入り、いったん伸び悩んだものの、引けにかけて買い直され、300円を超える上昇で4日ぶりに1万7000円台に乗せた。日経平均株価終値は、前週末比323円74銭高の1万7048円55銭と5日ぶり急反発した。ただ、東証1部の売買代金は2兆1784億円とエネルギーは盛り上がりに欠けている。

22日の動意株

 鹿島<1812>=後場急伸。
同社は午後1時30分ごろ、16年3月期連結業績見通しについて、売上高を1兆7000億円から1兆7200億円(前期比1.6%増)へ、営業利益を570億円から1070億円(同8.4倍)へ、純利益を400億円から700億円(同4.6倍)へ上方修正したことが好感されている。国内建設工事の利益率が向上していることに加えて、国内外の関係会社の業績も概ね堅調に推移したことが要因としている。また、業績予想の修正に伴い、従来3円を予定していた期末配当を5円に引き上げるとあわせて発表したことも好材料視されている。

 ユアテック<1934>=急伸。
同社は東北電力系の電気工事会社で電力設備投資需要を取り込むほか、首都圏では都市再開発に絡む案件を獲得し、受注単価の上昇も利益に貢献している。資材の一括発注や工事平準化に向けた提案営業も奏功し、業績は会社側の当初見込みを上回って推移している。前週末18日の取引時間中に16年3月期業績の大幅な増額を発表、営業利益段階で前期比34%増の150億円を見込んでいる。豊富な手持ち工事を武器に来期業績も増収増益が濃厚とみられている。

 クスリのアオキ<3398>=続伸し、一時昨年12月末以来の6000円台を回復。
足もとの販売は好調で、1月度の既存店売上高は前年同月比7.6%増、2月度は同5.8%増、3月も10%近い伸びとなっているとみられている。利便性と競争力の強い食品強化・調剤併設型の店舗の積極的な出店もあり、16年5月期の連結営業利益は会社予想87億1900万円に対し100億円と増額修正期待が出ている。

 日本オラクル<4716>=急反発。
同社は18日の取引終了後、16年5月期第3四半期累計(15年6月~16年2月)の単体決算を発表。売上高は1220億4700万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は364億8200万円(同6.5%増)、純利益は243億8300万円(同10.0%増)と増収増益を達成、これを好感する動き。公共、金融、流通、製造の分野で複数の大型案件を受注し、好調に推移している。

 マナック<4364>=一時ストップ高。
同社は前週末18日の取引終了後に、中国・上海市に現地法人を設立したと発表しており、中国をはじめとするアジア地域での事業拡大への期待から買いが入っている。同社では、既に江蘇省南京市にファインケミカル製品の製造拠点(南京八幸薬業科技)を保有しているが、海外展開のさらなる強化とサプライチェーンの最適化を目的に新たな現地法人を設立するという。なお、16年3月期業績に与える影響は軽微としている。

 黒崎播磨<5352>=急反発。
同社は前週末18日の取引終了後、従来、4円を予定していた期末配当について、3円増額し7円に引き上げると発表しており、これを好感した買いが入っている。中間配当と合わせた年間配当は10円(従来予想7円)となり、前期実績に対して5円の増配となる予定。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想