FOMC前に手控え、円高・ドル安進行へ警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/15 22:02

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前にして、引き続き手控え姿勢が継続しそうだ。きょうの日銀金融政策決定会合で、金融政策が“現状維持”と決まり、一部投資家による追加緩和期待が叶わなかったことで、限定的ながらも失望売りが出て、日経平均株価は4日ぶりに反落。外国為替市場でも1ドル=113円台前半へと円高・ドル安が進行した。1ドル=112円台での円高推移になると、日経平均株価の1万7000円台割れが避けられない状態となる。

 15日の東京株式市場は、後場に入り日銀の金融政策決定会合の結果が「現状維持」と伝わると、全体相場は軟化し下値を探る展開となった。終値は前日比116円68銭安の1万7117円07銭と4日ぶり反落した。

15日の動意株

 ジグソー<3914>=大幅高。
同社はネット環境の自動監視システムなどを手掛けるが、人工知能(AI)分野にも踏み込んでおり、AI制御によるIoTデータコントロールおよび次世代ロボットデータコントロールサービスを業界に先駆けて昨年11月からスタートさせている。AIソフトが完全情報ゲームにおける人類最後の牙城だった囲碁の世界も凌駕するかたちとなっており、同分野に経営資源を注ぎ込む企業群への注目が集まっている。先陣を切る同社株は、その象徴としても人気度が高い。

 ショーケース・ティービー<3909>=後場急伸。
同社はきょう、SBIホールディングス<8473>子会社のSBIインベストメントが設立・運営する「FinTechファンド」に1億円を出資すると発表。このファンドは、フィンテック領域でイノベーション創出が期待できる独自性の高い技術・サービスを保有し、今後成長が見込まれる国内外の未公開企業を投資対象としている。同社はファンドに出資することで、投資先企業および出資先企業との協業・連携を進め、既存サービス群の機能向上やさらなる新しいソリューションの開発を行うとしている。

 オービス<7827>=ストップ高。
同社は昨日引け後、16年10月期第1四半期の連結決算を発表。売上高は前年同期比51.9%増の23億1800万円に、営業利益は同約4倍の1億9800万円となった。会社側では、商談から施工までの期間が比較的短い小規模物件をターゲットにした受注活動に注力したほか、太陽光発電所については現在約4.5メガワットが稼働、来期以降計画中のものを含めると合計12メガワットが稼働する見込みと発表。通期会社計画に対する営業利益進捗率は50.6%と、高水準での着地となった。

 カイオム・バイオサイエンス<4583>=ストップ高。
14日の取引終了後、がん治療用抗体LIV-2008bに関して、スイスのADCセラピューティクス社(ADCT)との間でAntibody Drug Conjugate(ADC、抗体薬物複合体)領域での全世界における独占的な開発・販売権に関するオプションライセンス契約の締結を決めたと発表しており、業績への寄与が期待できるとの見方が強まっているようだ。

 東芝テック<6588>=大幅続伸。
14日の取引終了後、延期していた第3四半期累計(15年4~12月)連結決算を発表。売上高3945億5400万円(前年同期比2.0%増)、営業利益32億7500万円(同75.4%減)、最終損益776億400万円の赤字(同34億7100万円の黒字)と最終損益が赤字に転落したものの、アク抜け感から買われているようだ。上期の海外リテールソリューションの不振が響き営業利益が大幅減となったことに加えて、海外リテール関連資産の減損損失658億円弱を特別損失に計上したことなどから最終損益が悪化した。

 MRT<6034>=ストップ高し、上場来高値を更新。
同社は14日、同日開催された経済産業省主催の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2016」で、オプティム<3694>と共同で提供する遠隔診療・健康相談サービス「ポケットドクター」がグランプリを受賞したと発表した。同社株は10日に3月31日を基準日とする1対2の株式分割を発表したことをきっかけに人気化しているが、今回の受賞でさらに買いに弾みがついているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想