日本初「マイナス金利」はバズーカを超えるか?

著者:小野山功
投稿:2016/01/30 13:52

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【2月16日より実施】日本初「マイナス金利」はバズーカを超えるか?

日銀は本日開いた金融政策決定会合で、「マイナス金利の導入」を決定しました。マイナス金利が国内で導入されるのは、史上初めてとなります。

2013年4月4日に導入した「質的・量的金融緩和」以降、物価を年2%引き上げるために、日本国債などの資産を年80兆円買い入れています。市場に出回るお金の量が増えれば、物の値段が上がりやすくなるためです。

ただ、「質的・量的金融緩和」の導入から2年9か月余りが経過したものの、日銀が目標とする2%の物価上昇率は達成できていません。

追加量的緩和に動くにも、市中に出回る国債の9割ほどを日銀が買い入れている状況ですので、これ以上資産買入れ規模を拡大させることは現実的に難しい状況でした。

■日本初の「マイナス金利」が2月16日より実施

そこで今回決定されたのが、マイナス金利の導入です。従来の「量と質」に加え、金利をゼロ未満まで引き下げることで、金融政策に限界はないという姿勢を示したのです。「必要な場合、さらに金利を引き下げる」とさらなる金利引き下げにも含みを持たせています。

マイナス金利は2月16日から実施され、銀行が日銀に預ける当座預金の一部について、マイナス0.1%の金利が適用されます。

日本での導入は初めてですが、欧州では2014年からすでに導入されており、4か国がマイナス金利を採用しています。スイスでは中銀の預金金利が、マイナス0.75%まで引き下げられています。

ただ、スイスでさえ、預金金利がマイナスになる事態にはまでは至っていません。預金すればお金を取られるとして、取り付け騒ぎによる混乱が起きかねないためです。そのため、日本においても、預金者が金利を払うという事態が起こることはないとみられます。

■“ビッグサプライズ”で流れは大きく変わる

今回の日銀会合で追加緩和を求める声が一部で高まっていたとはいえ、マイナス金利という手法は、ほとんど誰も予想していなかったビッグサプライズでしょう。

日本株はヘッジファンドによる空売りで年初から一時3,000円安と大きく下落していましたが、日銀の決定を受けて、売り一辺倒だった流れが今後大きく変わる可能性があります。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想