「三島由紀夫 ふたつの謎」

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん
大澤真幸という社会学者の書いた書籍。
タイトルに惹かれて、他にもこの著者の書籍を買っているのに気がついた。
少々難しい内容なのだが、オモロク読んだ。

三島由紀夫の作品を通読しながら、同時に数々の評論も読みこなして、
大澤真幸が三島の心の中へと踏み込んでいくという、
ミステリーとしても読める書籍に思われる。

★「三島由紀夫 ふたつの謎」
  大澤真幸著 集英社新書 2018.11.21.第1刷

主に「仮面の告白」と「豊饒の海」をメインに推論が展開していく。

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村上春樹の『羊をめぐる冒険』(一九八二年)は、「1970/11/25」というタイトルの章から始まっている。このタイトルによって指示されている日、つまり昭和四十五年(一九七〇年)十一月二十五日に何があったのか?これは三島由紀夫が割腹自殺を遂げた日である。
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何気なく開いた冒頭のこの文章が目に入り、衝動買いしたのだが。
春吉君のことにはほとんど触れられていない。ちょっと残念。

読み終わって印象に残ったのは、「豊饒の海」のラストがなぜ破綻しているのかという推理で、結局彼は人生にも小説にも虚無をみてしまったからではないかと結ばれている点。

すると、川端康成など他の自殺した小説家も同様なのだろうかと。
だとしたら、一種の職業病なのかも知れない、などとオイラなどは感じる。

別の角度からだと、三島由紀夫は「豊饒の海」シリーズで輪廻転生を描こうとしていたのだが、構想ノートにあったラストとは異なるシーンを描いて、
擱筆としたという事実に違和感を覚える。・・・・・・①
この辺の推理を、著者は述べていくのだが、あまり釈然としない。

       *

三島が抱いていたのであろう虚無感については、著者はいくつかの作品を提示して推理展開していく部分があるのだが、その作品群の中に「海と夕焼け」がなかったのには驚いたし、少し残念に思える。・・・・・・②

密かに小説を書いてみたいと思っているオイラにとっては、
①と②の部分が強烈にヒントになっている。
けれど、いまだに書く技術が未熟なもので、編集者を探している。
二人浮上しかけたのだが、コロナや関係者の病気で止まってしまっている。







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多分、ヒントは五木寛之。
世の中がどー変わっていくのか、
ギリギリまでみてみたいという彼の正直な好奇心。

本心をほとんど語らない春吉君とちがって、
本音で書いてくれる五木寛之の言葉って、
オイラの身近でいうと裏表のないスナック門のママみたいで、
一緒に飲んでると安心できて、くつろげるんです。

誤解のないように言い方と変えると、
春吉君って、シャイなので、その言葉の本当の意味を解釈するのに、
疲れちゃうことがあるんですよね。
その誤解がなければ,ジャズみたいにストレートに言葉の意味が
読者に決まっちゃうんだけれども。


堅実さん
堅実です。

「また家族との関係についても、男と女の関係についても、周囲を見渡してみてもあまり幸せそうな人はいません。仲のよい熟年カップルは全体の10%もいないように見えます。」

ここなんですが、私も、ほぼ、同じだと、思っております。それよりも、70を過ぎましと、それどころではない。体の、あちこちが、おかしくなっている。ガタガタが、来ている。
そうなると、齢をとった後の、生活哲学が、必要になります。
自分で考え、自分なりに、行動するしか、ないのでは。
世間の人は、いろいろ、アドバイスしてくれても、それは、全く、私には、合っていないと、思うことばかりです。
分からないから今日、一日を何とか、生きられれば、それで、よしとしましょう。
他の人には、分かってもらえないと、気が付きましたので。
こうした自殺が小説家としての職業病と捉えられるかも知れませんが、他の職業の人にとっても人ごとではない、重い課題のように思えます。人生も中年ごろから、なんとなく先が見えてしまったような気がしてきて、それに加えてさまざまなストレスが重なってくると、精神的に危ういものが芽生えやすいのでしょう。また家族との関係についても、男と女の関係についても、周囲を見渡してみてもあまり幸せそうな人はいません。仲のよい熟年カップルは全体の10%もいないように見えます。殺人事件の半分以上が家庭内であると聴いたことがあります。自殺も他殺も自分の人生を終了させる意味では同じなので、このような閉塞感を打ち破る知恵が必要なのだと感じます。
堅実さん
堅実です。

いろいろ、コメントを書いて頂きまして、ありがとう、御座います。
割腹自殺の時も、あれやこれやと、評論が出て、三島は不思議な男だと、思いました。
師匠だと、思いますが、川端康成の、ガス自殺は、これと関係するのかなと、思ったりしています。
川端康成の自殺も、自殺する理由が、見あたらないので迷宮入りです。
三島と言い、川端といい、原因不明の自殺です。
三島由紀夫の、割腹自殺は、検視の結果、見事な、割腹ぶりだと、聞きました。
自殺の話ばかり、出ましたが、私達は、何とか、この混迷する世界を生き抜きましょう。
「女なんかな、くだらねーんだよ」と三島が言いたかったとしたら、
「豊饒の海」のラストの破綻は、説明できちゃったりするんですね。
身も蓋もない話なんですけど。
今書いていて、思いついたことがあります。
三島は本当は女からの愛を求めていたのだけれども、作品を通じてわかるように、それがかなわなかった例がたくさんあります。女の抱く男に対する打算など枚挙にいとまのない、小説化されたり、実際に殺人事件に至っている事例から、これは明白に思われます。愛する女などどこにもいないという名言を、オイラは予備校時代の講師から聴講したことがあるのですが、けだし名言のような気がします。愛すべき女を見つけられた男は、その幸運に気づいて生涯その女を大事にすべきです。そういうわけなので、オイラと違って春吉君は、ヨウコちゃんを大切にしてください。
そうですよね、三島は確信犯だった可能性が高いです。
でも、それがどのように確信していたのかが、未だに不明なのでしょうか、すべての評論を私は読んでいないので、大澤氏のような意見を述べることができません。

例えば、想像ですけど、
三島が心底嫌っていた、先に心中していた太宰に嫉妬して、小説家として勝とうとして画策した、同性愛とかナルシストとかが複雑に混ざり合った三島的な劇作家要素があったのかも知れません。

大澤氏が想像している三島の抱いたかも知れない虚無感などと比較すれば、その方が人間的で、小説家として抜きん出て真摯な心情として捉えられるので、好もしいようにも思えます。

しかし一方で、テロ的な要素も強いので、全面的な支持など得られません。

けれども、歴史を振り返ってみれば、どんな国家でも、
テロなしに成り立っている国など、どこにもないんです。
思想の違いは殺し合い、という残酷な歴史が土台にあって、
今の世界国家があるのだと思います。

恐ろしいことなのですけど、考えれば考えるほど説明ができない世界が、現状なのだと思います。




堅実さん

こんにちわ


三島由紀夫というと、市谷の自衛隊の基地に潜入し、割腹自殺したことが、最近の様に、思い出されます。

「盾の会」の主唱者で、日本を何とかするということで、今こそ、クーデターを、起こせと、バルコニーで、訴えたのですが、自衛隊が、動かなかったので、割腹自殺したのです。


この三島の考えは、右翼思想で、当時も、なぜ、ノーベル文学賞候補が、そんな事をしたのかと、謎でなっております。


当日、朝、何時もの様に、朝食をとり、奥さんには、何も、言わなかったのです。


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