高いのに、うっかり腐らせそうになるトマト。
もったいないので、即席でトマトソースを作る。
普通は、缶入りトマトの方がリーゾナブルなのだが。
ヘタをくりぬいて、適当にぶつ切りにする。
オリーブオイルを引いたフライパンに、ニンニクのみじん切りを投入。
辛くしたければ、ヘタと種を取った唐辛子を1片。
香りが立ったら、ぶつ切りにしたトマトを1個分投入する。
熱しているうちに、トマトはすぐに溶けてしまう。皮むきも種抜きもしなくても十分美味いから、大丈夫。
このときに、好きな具材を同時に投入したらよい。
マッシュルームとか、むきエビとか、むきアサリとか、
ピーマン、パプリカ、ソーセージなんかがイイんじゃないか。
塩で匂いを消したホッケなど、白身魚も捨てがたい。
さらに、白ワイン、ケチャップ、コンソメ顆粒を投入すると、グンと味が良くなる。適宜、塩とコショウで調整しよう。
トマト系パスタの基本形は、どんなレシピを見てもだいたいこんなところだ。
で、いったいどうやってこれが、落合シェフでも提供できないパスタになるのか。
何のことはない、フライパンのまんま、火を保温状態またはごく弱火にして、キッチンで黒こしょうやチーズを追加しながら、食べればいいだけだ。
ステーキ専門店ならば、冷めない工夫をして提供することがあるが、
イタリアン専門店で、特にパスタで冷めない工夫をしているところは、恐らくないんじゃなかろうか。ハンバーグはあるにしても。
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ケチャップとコンソメ顆粒でコクを増したトマトソースの風味は、病みつきになること請け合い。そこにアサリの旨味や、ピーマンのほんのりとした苦み、コショウの香り、チーズの風味、マッシュルームやむきエビの柔らかい食感が、協奏曲を奏でてくれる。しかも、これがずっと冷めないでいるという、幸福。別に空腹でなかったとしても、完食してしまう威力がある。満足感のとても高い一品。家庭でも、こんなに美味いものができてしまうとは。