だって、あいつは厚木の人間だからさ、と兄貴分は言った。
Vシネマの俳優をしているという。
遠藤は、妻田団地にいたのだと言う。
そこって、オイラの店から歩いて行ける。
「言っちゃうけどさ、ピエール瀧って、この店に連れてきたことあるし」
なんかもう、目眩がしてくる。
「お見舞いに行こうと思ってるんだけど」
「止めた方がイイですよ、賠償金が30億円とか言われてるんだし」
思わず、オイラは言った。
「あー、みんなにもそう言われてるよ」
そう言いながら、派手な名刺をオイラに置いていった。
*
遠藤山崎って地名が、オイラの家のそばにある。
遠藤さんも、山崎さんも、振り返るといろいろな縁があった。
こういうところも、不思議だ。
しかも、遠藤憲一の場合は、(東)伏見稲荷の縁でも繋がっている。
イナリック・ワールドは、どこまで広がっていくのだろう。
稲荷な縁の人たちは、遅かれ早かれ売れていく。
不思議だ。