「株は安く買って高く売るもの」だと良く言われますが
私は詭弁だと考えています。
何故なら、そんなこと出来れば株で損をする人は居なくなり
相場が成立しないからで
実際は「高く買って安く売る」或いは「高く買わされて安く売らされる」方が
圧倒的に多いと思います。
しかし、最初から高く買って安く売りたい投資家など居る訳がありません。
では何故そうなることが多いのか?について少し書いてみます。
<高く買わされて安く売らされる理由>
①安いと判断した株価が実は安値ではなかった
最も多い勘違いは過去の高値と比較して安いと判断してしまうケースです
株価には「旬」があり、時流に乗った時はセクター全体が急騰します
しかし「旬」が過ぎれば過去の高値に戻る銘柄は極々稀なので
過去の急騰理由(仕手の介入など)をしっかり調べて置くことが重要です
②買い煽りに騙される
意外に多いのは投資顧問や株式掲示板の買い推奨を鵜呑みにするケース
努力(事前調査など)を怠って、他力本願で売買する人が陥りやすい失敗
中には悪質な投資顧問の有料情報に騙されて二重の損失を食らうことも
但し事前調査をしっかり行っても、買うという前提で調査すると
その時点で当該銘柄をひいき目で見ていることが多いので要注意です
③専門家の売買予想が当たる確率は50%以下と心得よ!
アナリストや評論家は地合いが良くなると次々に推奨銘柄を紹介し
地合いが悪くなると必ず「需給の良い小型材料株」を推奨します
しかも推奨銘柄は後出しジャンケンが多いので高値掴みの危険性が大です
アナリストや投資顧問などが勧める通りに売買していたら
常に「高く買わされて安く売らされる」ことになりかねません
④アルゴリズム取引で暴落に巻き込まれた場合は冷静に対処する
下のリンクはおよそ9年前、ダウが10分間で700$下落した時の記事です
http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-15166220100507
この様に、僅か数分間で株価が異常に急騰・急落することを「スパイク」
同じく暴落することを「フラッシュ・クラッシュ」と言いますが
その原因の殆どは高速コンピュータのプログラム売買
すなわち「アルゴリズム取引」です
その結果1営業日でダウが1000ドル以上
日経平均が1000円以上乱高下することは珍しくなくなりました
因みに、何等かの理由で株価が急落するとアルゴの売りが暴落を誘い
さらに機関投資家の売りやシステムトレードが下落に追い打ちをかけます
そして最後に逃げ遅れた個人の売りが殺到するため
株価の暴落時には、何段階かに分かれて下落の波が襲って来ます。
またアルゴによって下落を誘う手法はヘッジファンドがよく使う手なので
個人は常に安く売らされてしまうのです。
しかし株価が暴落した理由(金融不安や地政学的リスクの台頭など)や
暴落のメカニズムを熟知して置けば、急いで売る局面なのか
我慢する局面なのか、それとも買い下がる局面なのかといった判断が
出来る様になる筈です
⑤個人投資家が情報を知って買う時は、機関投資家にとって絶好の売り場
つまり情報の質や収集スピードの差は歴然としており
個人が買った時が高値だったということは良くある話です。
従って、好材料で株価が動意付いた場合、慌てて買うのではなく
先ず材料の大きさを吟味することが重要だと思います。
但しそれには経験や知識が物を言うので、判断出来ない時は傍観し
今後の判断材料にするため、結果を見極めるという割り切りが大事です。
⑥勝率に拘ると極めて高い確率でトレードは失敗する
株式投資は資産運用なので、資金が減り続ける様ではやる意味がありません。
そこで資金が目減りする一方だという人は
勝率に拘っていないかを振り返ってみて下さい。
全ての売買に於いて損をしたくないという気持ちが強いと
損切りのタイミングを逸してしまい、塩漬け名人になってしまいます。
そして株価が買値に戻る前に、地合いに引っ張られて暴落すると
結局底値付近で損切りすることになります。
株式投資は勝率ではなく勝敗が全て。
つまり勝率1割でも年間を通じて収支がプラスなら勝ち組です。
こういう考え方で売買すれば、損切りの抵抗感が無くなり
万一高値掴みをしても怪我は最小限で済みます。
株式投資は資産の運用ですから、儲けてナンボの世界です。
ですからどうすれば損失を最小限に抑えられるか。
どうすれば「高く買って安く売る」という悪循環から抜け出せるか。
「言うは易し、行うは難し」ですが、少なくとも他人の意見を鵜呑みにしたり
衝動的に買うことだけは避けるべきだと思います。
またヘッジをせずに株を保有するのは、丸腰で戦場に飛び込む様なものなので
大切な資産を減らさないために、全力買いを控えると同時に
ポジションに応じたリスクヘッジが不可欠だと考えます。
PS:NY市場では「FAANG」人気が薄れていますので
ナスダック指数の大幅な再調整に注意したいところです。
因みに日経平均の下値予想は、PBR=1.0倍に相当する19330円です。
(経験的にPBRが1.0倍を割ると、極めて高い確率で反発しています)
但し私見ですので予想が大きく外れたら。。。_|\○_ スミマセン