クラリスロマイシンなんて、耐性菌発生率が80%を超しているらしい。
「風邪を引いたら、なんとなく抗生物質」という事態が招いた結果だという。
耐性菌があると、たとえばガンになったとき、放射線療法ができない。
免疫が下がってしまうために、敗血症で死んでしまうからだ。
とにかく、免疫が下がってしまう医療はなんにもできなくなってしまう。
おまけに、耐性菌に効く抗生物質がとても少ない。
こんな具合で、耐性菌がこれ以上はびこってしまうと、
当たり前の治療が受けられずに、サクッと死んでしまう人が増えるのだという。厚労省の試算だと、そのうちにガンで死ぬ人より、耐性菌が原因でまともな医療を受けられず、死んでいく人が多くなるという。
11/4(日)に、北里大学白金キャンパスで国際感染症の講義があったので、
有料だったのだが聴いてきた。厚労省は無駄な医療費を削減するのも手伝って、この無駄な抗生物質投与を止めさせようと活動している。無駄な投与を見つけたとき、罰金性にすればイイのだが、それだと医師会がもめてしまうのでそーいうことはできないのだという。なので、無駄な抗生物質投与を止めたら点数がつくようにしているのだという。罰金ではなく、インセンティブ制度。
なんだかんだ成果が出ているというが、目標にはまだ達していない。
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それでも、どーしても短期間だけ抗生物質が必要な場合がある。
アモキシシリンとアジスロマイシンだけ、しょーがないから使ってイイという。また、耐性菌を生み出してしまう温床になっている第三世代セフェム系抗生物質の採用を、完全に中止した病院もチラホラ出現してきているという。
ドラッグストアだと、風邪っぴきがよく来店するのだが、
ポピドンヨードでうがいして、15歳以上だったらイブプロフェン系風邪薬を3~5日飲んでも効かない場合は、溶連菌(のどに膿が充満するという)など重症な場合を考えて、医師の診断を受けた方がイイ。「喉の痛み、鼻の具合、咳の状態」がだいたい同じくらいだと、まず99%抗生物質はいらないと壇上の医師は説明していた。
PS:他にも、インバウンドなどと喜んでいる商売人は多いのだが、潜伏している感染症も本邦になだれ込んでくる危険性があるという。壇上の医師は、そうした医療の最前線にいる人なので、現実にあった危ない話をたくさんしてくれた。村上龍の小説のようなことになりそうな場合もありえると感じる。
とにかく、観光で来た人は、ものすごい速度で日本中を移動するので、感染症も同様に、瞬時に拡大する恐れがあるという。