トランプ大統領は中国による知的財産権侵害に対する制裁措置として
中国製品に最大600億ドルの追加関税を課す用意があると報じられています。
この制裁措置は3月中に決定される予定で
鉄鋼とアルミ 以外にもさらに強力な輸入制限を行うことで
米国の対中貿易赤字を年間1000億ドル削減するよう求めているとのこと。
しかし中国がこれらの要求を無条件で受け入れるとは到底考え難く
米国製品(農作物)の輸入制限など何等かの対抗措置をとると思われます。
さらに中国は年初に米国債の購入減額または停止を示唆していますので
これが実行に移される可能性も否定出来ません。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-10/P2C7AP6KLVR501
ただ米国債の一部を売却すれば国債価格が下落し
中国が保有する残りの米国債の価値も下がります。
また中国が大量に米国債を売りに出しても
先進国や産油国が協調介入し世界経済の混乱には至らないでしょう。
また為替はドル安・元高になると同時に対北米輸出も縮小しますから
輸出超過国である中国は自分で自分の首を絞めることになりかねません。
中国が米国債を容易に売れない理由がここにあります。
一方で、米国が中国に対して強引に貿易赤字の解消を求めると
本格的な貿易戦争に突入するリスクが高まるだけでなく
米国の国民生活にも悪影響を及ぼします。
そこで「全米小売業協会」は以下の理由で制裁の中止を呼び掛けています。
〇中国製品への関税強化は消費財全般の値上げを促し
米国の消費者にとって税制改革の恩恵が失われる
〇消費の低迷や貨物輸送量の減少、雇用の伸び悩みなど経済成長を妨げる
次に為替と株価への影響ですが、対中貿易制裁が実行に移されれば
「ドル売りが加速し円高」へ。
また今週(3/20~21)開かれるFOMCの結果も見逃せません。
年内利上げ観測が3回なら「NY株高・ドル安・ドル円横ばいor円高」へ。
4回の場合は米長期金利が上昇し「NY株安・円高」へ。
おい!おい!それじゃあ どう転んだって円高じゃないか p(`ε´q)ブーブー
そうです!今後は1ドル100円の攻防も想定して置いた方が良いと思います。
その理由ですが
一つは投機筋による円ショートの巻き戻しが考えられるためです。
また購買力平価や実質実効為替相場から見ても
ドル円の妥当な水準は「100円~105円」と考えられており
トランプリスク(政治の混迷、地政学的リスク、貿易戦争 etc)による
有事の円高を考慮すれば、1ドル100円を割り込む場面もありそうです。
では1ドル105円以上の円安は無いのかというと そうとも言えません。
昨年来政府は日銀の審議委員にリフレ派*を送り込む動きを見せており
さらなる金融緩和を模索している節があるからです。
*昨年審議委員に加わった片岡氏と次期副総裁に推薦された若田部氏
勿論安倍首相の三選が前提になりますが
実現すれば来年にも永久国債の発行に踏み切るかも知れません。
最後に日本株の予想ですが
これ以上円高が進行すると、日経平均27000円どころか
25000円も雲の上の話になってしまいそうです。
それでも東京市場は外国人次第なので
円高でも彼等が買い越せば株価は上がります。
しかし3月第1週(3/5~3/9)の投資主体別売買動向によると
海外投資家は日本株を現物・先物合計で9 週連続売り越しています。
<考えられる主な理由>
「円高よる輸出企業の業績悪化懸念」
「トランプ政権による保護主義政策への警戒感」
「森友問題に端を発した安倍内閣の支持率低下」
特に森友問題は海外メディアから安倍政権の命取りになりかねないと評され
かなり注目を集めているだけに、株価への影響は甚大だと思います。
万一三選の可能性が無くなれば、日経平均27000円どころか
20000円割れへ向かうと考えています。
とはいえ世の中何時何が起こるか分かりません。
案外「米朝会談」が天の助けになるかも。。。(´-ω-)ウム