もしもうつ病と診断されて、抗うつ薬の服薬を始めてしまえば、
食事によってセロトニンを増やことは、もはや難しくなってしまう。
なぜならば、薬によってセロトニン活用度を増やそうとしているところへ、
食事経由のセロトニン増加が加わると、結果としてセロトニン過剰状態に陥り、
セロトニン症候群という重大な副作用が起きる可能性が高まるからだ。
なので一番いいのは、
うつ病と診断されないように、平素からあらかじめ食事に気を配っておくことだろう。
セロトニンの原料は、トリプトファンという必須アミノ酸。
ヒトはトリプトファンを体内で合成できないので、食事で摂取するしかない。
トリプトファンは、大豆製品(豆腐・納豆・豆乳)、肉類(特に牛肉)、チーズなどに
多く含まれている。
とまぁ、これくらいのことを知っていたので、顧客にたまに話をしていたのだが。
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★「脳はどこまでコントロールできるか?」
中野信子著 ベスト新書 2017.6.25.初版第十五刷発行
この書籍の中に、さらなる追加事項を発見したので、購入した。
学生の頃、真剣に不真面目だったオイラには、
取りこぼしている知識がたくさんあるのだ。
P.62~66に書かれている事項がちょいと深くて、オイラには驚きだった。
以下かいつまんで説明してみる。
もしも脳内セロトニンを増やして幸せな気分になりたいと思ったとき、
必須アミノ酸を豊富に含んだ健康食品(もちろんセロトニンも含んでいる)を
摂取してみようと決断したとする。
このときにダイエットブームな昨今の知識を併用すると、
糖質制限しながら必須アミノ酸健康食品を摂ろうとするかも知れない。
すると、脳内セロトニン濃度は、却って減ってしまうと著者は言う。
なぜならば、セロトニンが脳内に移行するには、血液脳関門という
いわば関所を通らないといけないのだが、
その際、同時に摂取した他のアミノ酸どももこの関所に密集してきてしまい、
激しい混雑が生じて、肝心なセロトニン君は脳内に入りにくくなってしまうと言うのだ。
この問題を、どーやって解決すればイイのだろう?
著者の答えはこうだ。
「だから、炭水化物をちゃんと食えってば」
炭水化物を摂取すると、血糖値を下げるべく膵臓からインスリンが分泌されてくる。
ところでこのインスリン、血糖値を下げるだけが仕事ではないという。
①骨格筋におけるアミノ酸・カリウムの取り込みを促進する。
②タンパク質の合成を促進する
こういう大事な役目があるのを、ほとんどのヒトは知らないだろうと、著者は指摘する。
①により、セロトニン以外のアミノ酸どもは、筋肉に吸収されてしまうので、
血液脳関門という関所はガラガラになり、セロトニン君は悠々と脳内に潜り込めるのだ。
また、筋肉をつけたい目的があるときにも、
②の作用のことを想起して、炭水化物も適度に摂取すべきと著者は言う。
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ダイエットも、ほどほどにしないと却って健康を損ないそうだ。
それにしても中野信子は、オモロイ。
PS:「それからトリプトファン含有食品には他に、卵・赤身のマグロ・
ビーナッツなどナッツ類、牛乳なんかもあるからね」
って、オイラは著者に怒られるのであった。