特に車・医療・兵器に関して最新知見を織り交ぜた書籍。
具体的かつ詳細、しかもわかりやすく書かれたこの書籍は、
人工知能の最新トレンドをつかむのに最適と思われる。
以前、米国人が書いたAIによるシンギュラリティに関する書籍は、
ただただ中身をムダに膨らませてページ数を増やし、
その割には内容が乏しいという、
情けない出来になっていた。
オマケに、高い・・・・・・。
しかし、今回取り上げた書籍は、
上記の特徴を備えた上に、安価ときている。
素晴らしい。
★「AIが人間を殺す日」
小林雅一著 集英社新書 2017.7.19.第一刷
この書籍では、登場する企業など、
すべて実名で書かれている。
成功も失敗も、すべて実名ということで、
投資判断にもできる内容となっている。
失敗事例の一例を挙げると、
人工知能搭載の米国テスラモーター車では、
死亡事故が起きている。
そして、その事故内容の詳細と原因追求、
ならびに今後の人工知能が辿るべき課題を明らかにしていく。
医療用人工知能に関しては、
伝統的な「ルール・ベースAI」を進化させた
米国IBMの「ワトソン」、
ワトソンとは正反対の性格を備える、
「ディープラーニング」技術で開発された
グーグル参加の英国ディープマインドによる
医療用人工知能が注目される。
*
ところで、ディープラーニング技術を利用すると
パターン認識に強い人工知能製品ができるのだが、
ここには大きな欠点があるという。
どうしてそういう答えを人工知能が選んだのか、
ブラックボックス化してしまって、
誰にもわからないというのだ。
そう、開発者にもわからない!
(ルール・ベースAIによる人工知能だと、
それが明らかとなっており、有益とされている)
このブラックボックス化が元凶となって、
いろいろな倫理的問題、
過誤など引きおこす要因となっているという。
この他にも、注目すべき事例満載なこの書籍、
オイラはもう一度、読んでみようと思う。
PS:「おわりに」に著者が書いている話が、泣ける。
英国の小説家、メアリ・シェリーによるフランケンシュタインに絡めた
最後の話は、傑作だって。