神奈川県警、大サービスの巻

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん
6/26(月)の正午、行きつけの床屋モナコでボーズにする。
同日1時15分頃、藤沢警察へ到着。
駐車場が空かないので、少し遅れる。

デスクにいる警官に要件を告げると、
引き継ぎのメモを見ながらこう返してきた。

「派出所から警官を向かわせるので、
 被害に遭った駐車場で待っていてください」

男性警官が笑顔でそう告げた瞬間、
ふと、『今日は、大サービスしちゃうから、もう』
みたいな感覚を、その表情の裏にオイラは感じた。

なんか、イイ予感がする。

現場で待っていると、
ヘルメットを被りバイクに跨がった警察官が一人来た。
すこーし、タヌキ系の体型をしたその警官が、
駐車場の奥へバイクを止めると、
ヘルメットを脱いでこちらへ歩いてくる。

まだ県警に採用されてから、
そうは年数が経っていないと思われる、それは女だった。

「どうも、Shinさんですか?」
「ええ、よろしくお願いします」

婦人警官というと、融通の利かない頑固な人というイメージがあるが、
彼女はまったくちがっていた。
とても素朴な感じがする、誰でも好感を抱くだろうと思われる人だった。

彼女を、どこかで見たような気がする。
それもTVで。
たしか、神奈川県警で白バイの訓練をする、
採用されたばかりの女性警察官特集だったか。

     *

すぐに車両検分やら、防犯カメラの確認連絡やら、捜査が始まった。
「Shinさん、このメジャーの端っこ、もっててもらえます?」
「喜んで」
オイラは、素直な飼い猫にでもなったかのような即答を、
彼女に向かってするのだった。

被害に遭ったというのに、オイラの心は癒やされていた。
というか、被害に遭って良かったとすら感じている自分に気がついた。

気分はもう、コスプレの店にいって興奮しているかのようだった。
いや、いま目の前にいるのは、ホンモノの警察官の服装をした、
ホンモノの拳銃をその充実した腰に装着している、
ホンモノの警察官、それも女だっちゅうの。

     *

このようにして、幸せな2時間が過ぎていった。

最後に、代行で帰る直前、数台先に見覚えのある軽トラックがあったと告げた。
もしもこの駐車場で行われた犯罪だった場合、
その軽トラックの持ち主が犯人である可能性が、
95%以上あると。

被害当日、代行で帰宅途上にそう気がついたオイラは、
スナック門のママに電話して、駐車場を確認してくれと告げた。
昼前に留守電があり、その不審車はもういなかったという内容だった。

つまり、代行の運転手が大きな傷に驚いて声を上げたとき、
その軽トラックに乗っていた男は車内に潜んでいて、
(だって、車で生活している男だからね)
オイラが今日はもう帰ると決心して去ったあと、
ほんの十分間のあいだに、逃げ去ったと思われた。

コインパーキングなので、
出庫履歴が残っている。

しかも、オイラの車は支払機のそばに置いてあったので、
カメラがダミーでないのならば、
犯行現場が記録されているはずだった。

もしそうだとすると、
オイラにもスナック門のママにも、
犯人が誰なのか、すでに判明しているという次第。

オマケに、そいつは直近で逮捕歴があるので、
指紋も車のナンバーも、藤沢署に記録があるはずだ。

そんなことを彼女に告げてから、
「というわけで、期待しています」
と挨拶をして、爽やかに(多分・・・)別れた。


PS:犯行現場となった駐車場のとなりに、コスモ石油がある。
   そこには今はなき「パチンコ・ハッピー」の看板が、今でもかかっている。
   パチンコの山を両手に持った、ゴリラの看板だ。
   これこそが、「1Q84」で登場する高速道路にかかっている
   ゴリラ看板の元となった材料。













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