前回の医師とは、別な方が執筆している。
オイラはこの書籍を、職場の若い栄養士に読ませてみた。
本を読むのが苦手だというその栄養士は、
なんと読み通すこともかなわず、失望した。
学生時代の状況を訊いてみると
どうやら、教育関係者にも浸透度が低い模様。
つまり、英語環境に疎い本邦では、
世界の疫学調査結果という最強のカードが切られたとしても、
末端までその知識・見解が知れ渡るまで
タイムラグを生じるということらしい。
また、かつて説を発表した権威が存命な場合、
新説をおおっぴらに認める空気が萎んでしまうというような、
権威を気にした動向というものが、
あの米国でも生じるらしい。
その一例が、
カロリー制限や脂質制限ということだ。
★「糖質制限の真実 ~日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて~」
山田悟著 幻冬舎新書 2016.2.15.第九刷
糖尿病専門医であるこの山田医師自身も、
世界の疫学調査結果を知るまでは、
旧態依然とした食事指導をしてきており、
彼は書籍冒頭で、自身の過ちを悔い、かつての患者たちに懺悔している。
山田医師が知り得た見解を、
コンパクトに読みやすく、しかし、各論の深さをも推測できるように
たいへんに工夫されて書かれており、ありがたい。
一部共通する内容に関して、
前回登場した近藤医師と異なる見解も若干見られたりもするが、
そこは賢い読者自身が、巧みに判断すれば良いと思われる。
「日本人には、ロカボ食が理に合っており向いている」
ひと言ではこれが中心事項だが、
そのまわりに散りばめられている疫学調査結果が、
驚きの事実で充ち満ちている。
糖尿病患者や、減量をめざす人たちにとって、
カロリー制限も常識の範囲なら気にすることはないし、
脂質制限はほとんど心配する必要もない。
糖質制限がしっかりとできているならば。
医療関係者たちは、
一刻もはやくこの内容を知り得ないと、
早晩、沽券に関わることになるだろう。