例えば星新一のショート・ショートは権利者の承諾を得て、
その解析とそれを応用した作品制作を許されているという。
今回知ったことは、AI に莫大な量の作品を読み込ませ、
そのデータを詳細に解析した結果、
どのくらい正確にベストセラーを認定できたか、
検証実験を積み重ね、それが概ね正しく判定できたという話。
★「ベストセラーコード ~売れる文章を見きわめる驚異のアルゴリズム~」
ジョディ・アーチャー&マシュー・ジョッカーズ著
解説:西内啓 訳:川添節子 日経BP社 2017.3.28.第1刷
そして、それを利用して、
新たにできた作品のヒット予測に応用できるのではないか、
あるいは、新たに作品を作成できるのではないか、
という可能性を含ませた話。
具体的には、
米国にてベストセラーになった作品、
あまり売れなかった作品を大量に AI に読書させ、
さまざまなアルゴリズムで解析し、結果判定していた。
結果、AI が選んだベスト100など紹介されてもいるので、
この書籍の結果を、
オモロイ小説を読みたいという欲求に利用することもできる。
ここに紹介されている AI 達は、
さながら米国文学界の閻魔大王と言えそうだ。
また、こうした試みは本邦でも、日本語作品に対して行われており、
具体的な大学や担当教授達の名前も、解説者によって掲載されている。
*
オイラが感じたのは、
新人による作品投稿を AI を利用して読み込ませれば、
少なくとも出版社の経費を大きく削減させる可能性。
ただし、これには危険も伴っており、
それまで売れていた作品と似通ったものばかりが判定で残ってしまい、
読者にすぐ飽きられるといったことや、
売れないと判定された作品の中にも、
実はすごくオモロイ作品が潜んでいて、
それを見落としてしまうことなどが懸念される。
*
もうひとつ可能性があるのは、
読者がどんな気分になりたいかによって、
作品を選べるようになれば、
出版界はもっと儲かるような気がする。
このどんな気分になりたいかとか、どんなテーマを読みたいとか、
コンピュータに入力すると、即座に AI がリストアップしてくれて、
その作品を購入できたり、電子書籍で読める仕組みがあるとオモロイ。
一番ガッカリするのは、
期待して読んだそれも長編が、つまらなかったときだ。
そういったことが避けられるのは素敵だ。