たとえばサイクル・コンピューティングというベンダーは、
アマゾンのEC2クラウドコンピューティングサービス上で、
3万個のプロセッサからなる「ネコマタ」という名前のクラスタを構築した
(ネコマタは日本のネコの妖怪の名前)。
その3万個のプロセッサは、各8個あたり7ギガバイトのRAM(PC1台のRAM容量に近い)を備え、
合計で26.7テラバイトのRAMと、
2ペタバイトのディスク容量(引き出しが4つあるファイリングキャビネット4000万台に相当する)
を有していた。
このネコマタは何をしたのか?
製薬企業のために、
新たな薬剤化合物の分子の振る舞いをモデリングしたのだ。
気象システムのモデリングに匹敵する難題である。
ネコマタは、9000ドル未満のコストで、
わずか7時間でモデリングを完了した。
その短い寿命のあいだ、世界のスーパーコンピュータ500傑に含まれていた。
1台のパソコンで同じことをおこなったら11年かかる。
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★「人工知能 人類最悪にして最後の発明」
ジェイム・バラット著 水谷淳訳 ダイヤモンド社 2015.6.18.第1刷 2015.7.1.第2刷
P.234~235より抜粋
あまりオモロイ書き方だとは思えなかったのだが、
この「ネコマタ」の話しが印象に残っていた。
でもそれは、コンピュータの話しとして印象に残ったのではなくって、
「ネコマタ」なんていう日本の妖怪の名前を、
恐らくは米国人がシステムに名付けたという事実に。
「子泣きじじい」とか、「砂掛けババア」じゃなくって、
「ネコマタ」という名前を選んだセンスに。