kabukabumanさんのブログ
欧米市場のインチキ相場が終わる時
欧米市場の株高は一向に止まる気配がありません。
単純な疑問としてブレグジットは何処へ行ったのか?
FTSEの高騰も不可解ですが
株価を見る限り、欧州市場全体も英国のEU離脱を歓迎したかの様に思えます。
一方、ダウの下落を散々原油価格の所為にしていたNY市場ですら
原油先物が1バレル40ドル割れを目の当たりにしても急落する様子は全くありません。
専門家の間には、こうした強い相場はあと1年くらい続くと予想する向きもある様ですが
素人目には信じ難い話です。
そこで「不可解な株高」の原因について少し考えてみました。
<不思議その①>
6月度の米雇用統計が市場予想を大幅に上回ったにも関わらず
NY市場では利上げに対する警戒感が全く見られない
過去のパターンを振り返ると、雇用統計の大幅な改善は利上げ警戒感に繋がり
株価が下がることはあっても、上がり続けることはありませんでした。
さらに7月のFOMC声明文では9月利上げの可能性に含みを残しましたが
それでも市場は全く反応していません。
先ずは6月の声明文の骨子をご覧下さい。
○殆どの参加者が英国民投票が米経済を妨げ、金融市場を混乱させる可能性があると指摘
○殆どの参加者は雇用統計が労働市場の見通しについての不確実性を増したと判断
○多くの参加者はインフレは2%目標に向かっていると予想したが
その他の参加者はインフレ亢進は減速しており重要な下振れリスクが見られると指摘
○複数の参加者は中国の為替政策や高い水準の債務
その他新興国経済が世界の金融安定に及ぼすリスクが不確実と指摘
○2、3人の参加者が雇用の急速な鈍化や設備投資の弱さ
世界経済や金融の混乱を含めた見通しに下サイドのリスクがあると指摘
FRBはこの時、5月の雇用統計(+1.3万人)は一時的なものであるとしながらも
声明文を見る限り、利上げに対する自信を完全に喪失してしまった様に思えます。
そのため、各メンバーが如何にタカ派的なコメントを発信しても
市場は年内利上げすら無いと判断してしまったのではないでしょうか。
以下は7月FOMC声明文の骨子ですが、ここでも赤字の部分はかなり弱気に思えます。
○経済状況はFF金利が緩やかな引き上げのみ正当化すると予想
○金融政策のスタンスは引き続き緩和的 ➡ 利上げの可能性が薄い決定的な根拠
○FF金利の道筋は今後出てくる経済見通し次第 ➡ 一体何時まで様子を見続けるのか?
○インフレ指標や世界経済、金融動向を注意深く見守り続ける ➡ 世界経済の停滞は続くと予想
○エネルギーや輸入価格下落の一時的な影響がなくなり、労働市場がさらに強くなるにつれ
中期的には目標の2%まで上昇していくだろう ➡ 原油価格の急落で利上げは遠のく筈
○労働市場は強く、経済活動は緩やかなペースで拡大している ➡ 緩やかでは利上げしない?
○雇用データはここ数カ月で労働力活用の一定の増加を示している ➡ 説得力無し
○景気見通しの短期的なリスクは後退した
○参加者のうちジョージ・カンザスシティー連銀総裁は0.50~0.75%への利上げを主張した
➡ 残念ながら、今のFRBメンバーは総じて過去最低レベルとの評価が多い様です。
因みに、専門家は9月利上げに含みを残したと判断している様ですが、赤字の部分を見る限り
FRBの本音は年内利上げにすら消極的で
利上げに含みを残したのは面子を保つためではないかという声も聞かれます。
結局、市場の評価は年内利上げなしが多数を占めていると考えれば
6月度雇用統計以降の株高も、ブレクジット直後の株高も頷けます。
しかし少なくとも金融緩和に向かう訳ではないので、FRBが利上げを臭わせる発言をするか
或いはEUや中国等にネガティブな問題が発生すれば、株高の流れは急変すると思います。
<不思議その②>
消えた?ブレグジットと欧州の根拠無き株高
EU市場に於いて最も不思議な現象は、離脱を決めた英国の株価は勿論
その他の欧州市場でも株高が止まらないことです。
因みにドイツ銀行とモンテパスキの経営危機は周知の事実で
ジョージ・ソロスがドイツ銀行株に大量の空売りを仕掛けた話も有名です。
つまり、EUではマイナス金利の導入で金融システムの不安が燻っている上に
ECB(ドラギ総裁)はこれ以上量的緩和をしないと明言した訳ですから
幾らNY市場に勢いがあるとはいえ、全面的な連れ高はどう考えても行き過ぎだと思います。
次に、その謎に対する一つの答えがありますのでご紹介して置きます。
(ブレグジットが英国経済の追い風になる理由)
http://jp.wsj.com/articles/SB12317063740587874003104582160140459586730
とはいえ、万一スコットランドが独立の道を選べば
英国は国土の三分の一だけでなく、北海油田も唯一の軍港も同時に失うことになるでしょう。
そう考えると英国経済の衰退は免れず、何時株価が暴落しても不思議ではありません。
一方他のEU諸国は、第二第三のブレグジットに警戒が必要だと思いますし
最近の度重なるテロ事件が益々激化することも考えら
株価が急落する材料には事欠きません。
<不思議その③>
米大統領選挙の行方
直近の世論調査で、トランプ候補が初めてクリントン候補に3ptの差を付けてリードしています。
今はまだ未知数ですが、トランプ大統領誕生となれば株価は暴落するという見方もあり
NY市場の流れが急変する可能性もありそうです。
因みにトランプ大統領が誕生し、日米安保条約の見直しや
東アジアの地政学的リスクに積極的に関与しないとなれば
少々過激ですが、この際米国債を売り飛ばす良い機会だと考えています。
米国が孤立主義を選択するのであれば、文句を言われる筋合いはありませんから。
中国の侵略行為が激化する
南シナ海の領海問題で、ASEAN諸国の包囲網が纏まらなかったため
今度は東シナ海をターゲットに挑発的な行動に出る可能性が高いと思います。
また米大統領選の最中、政治に空白期間が生じる恐れがあり
その間に何等かの行動を起こすことも充分考えられます。
まして、トランプ氏が大統領に選出されれば
尖閣諸島を占領する用意があるとの噂まで実しやかに流れており
この先トランプ氏の優勢が続く様であれば、国防関連銘柄を仕込んで置くのも一考でしょう。
(まとめ)
欧米の株式市場は「一触即発状態」かも知れません。
相場の歴史を遡ると、ブラックマンデーが起こる数日前に
ある投資家が靴磨きの少年から株式投資を勧められ
咄嗟に危険を察知して難を逃れたという逸話があるくらいで
「Xday」は投資家心理が至福の状態にある時突然やって来るものです。
今は買いポジションを20%~30%以内に抑えるか
もしくはヘッジが必要な局面ではないかと思います。
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