英国のEU離脱ショックは、世界を一巡しました。やはり大幅な下げで反応したようです。市場の関心は、明日以降の相場がどうなるかという方向に移っているようです。
EU離脱ショック前までは、「万が一離脱となった場合には」との前提で、市場関係者からは、14,000円を割り込む安値をあげる人が多かったと記憶しています。それがどのように変化するのか、見守りたいところですが、何しろアナリスト、エコノミストと称するすべての人が、英国のEU離脱はないと思っていたそうですから、彼らの相場の見通しに信頼感がないのは当然です。
それじゃ「おまえは?」といわれたら、「選挙は水物、結果はやってみないと」と半信半疑の状態でした。そのため結果については一時的で、イベント終了後はまた元に戻り、年内には20,000円もありうると、楽観的に考えていました。
結果は想定外だったとはいえ、選挙の恐ろしさは、今後の相場観に影を落としたことは事実です。
英国の選択が、世界経済に与える影響はある程度抑えることができても、選挙という予測不可能な制度からくる政治の世界には、大きな影響を与えそうです。人、もの、サービスの自由な移動が制限されるわけですから、ベルリンの壁以前の政治状態までも想像してしまいます。政治と経済を動かすパラダイムが変わるかもしれません。
だからといって相場は待ってくれません。明日からの相場をどう読むのでしょうか。
日本の市場は、年初の19,034円から下げつづけ、2月15日には一番底(14,866円)をつけ、その後一進一退を繰り返し、今回の騒動で一番底を2円割り込み、14,952円で引けました。年初から21%下げ、15年5月の高値(20,953円)からは、29%も下げているのです。
英国民の今回の選択についての反応が、予想以上に冷たかったことから世界の株安はひとまず収まり、反転の兆しも見えます。日本の株価も、チャートやバリュエーションから見て、15,000円を大きく割り込むことはないと思われます。
ただ、日本では参議院選挙、アメリカでは大統領選挙と、予測不可能なイベントを控え、その後は様子見の相場展開が予想され、大きく回復することは考えられません。世界的に見ても、中国の生産設備の廃棄と不良債権問題は一向に進まず、次の需要を引っ張るものが現れてきません。
とはいっても、株式相場は経済よりも企業業績を反映します。株価が国の経済力を表す指標として用いられ、企業の価値が時価総額で決まるという考えが定着した以上、株価を維持上昇させることは、政治と金融がその気になれば、それほど難しいことではありません。
どこの国でも、20年の期間をとってみると、株価平均が上がっています。日本の場合は、昭和バブルの影響で、マイナスになっていますが、30年でみると値上がりしています。市場に供給される資金が増大し、見かけ上の富が増えることによって企業収益が拡大し、株価が上昇しているのです。長期投資の優位性は、歴史が証明しているのです。
「株は上がるばかりでなく下がることもある」ことは誰でも知っていますが、それと同じくらい「株は長期に見ると上昇している」ということは事実なのです。コンピューター時代になっても、変えられることのできない現象です。
アベノミクスは今年で4年目。年初からの暴落で上昇トレンドに向かうのは、難しくなってきました。むしろ下落期から底値期に入ったとも見えます。そうなると「天井3日、底値100日」の格言どうり、底練りは次のパラダイムが見えてくるまで続くことも予想されます。
それでも、安倍内閣が続く限り、デフレからの脱却と国際競争力の強化を目指す経済政策に変わりはありません。変わるのは、相場を牽引するテーマ株です。このときこそ、次の大波に向かって銘柄選択を練りあげる絶好の機会です。新しく株の世界に入ろうとしている世代の方にとっても、申し分のない参入チャンスとなります。