が、湘南台のイトーヨーカ堂に展示されていた。
毎回、ディサップ・ギーというフランス人の描いた絵画は、
繊細でなんとも美しいのだが、
今回は、美術会社社長の肝いりのフランス人が二人、
専属契約されて作品が展示されていた。
けれど、名前をメモるの忘れたので、
この話はパス。
男性社員から色々説明を受けて鑑賞してみた。
「どれが、いちばんお好みですか?」
と、訊かれたので、
「あの角に飾ってある青い絵がいちばん光って見えます」
と、答えた。
その青い絵画には、値札が付いていなかった。
けれど、青の色彩が煙るように素晴らしいのと、
グレーの額縁が、まるで新品の外車のようで格好イイ。
そして、その煙るような青の色彩と、外車のようなグレーの色彩が、
これ以上ないだろう、アンタってくらい、
色あいがドンピシャリとマッチしているのだった。
「なんともお目が高い!
これは千住博さんの描いた滝の絵でしてね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E4%BD%8F%E5%8D%9A
題名はウォーターフォール。
とても人気のある方で、この絵画は一千万円以上します。
今なら弊社で利息分を負担しますので、大変にお得ですよ」
「じゃ、買います」
あっさりと答えて、オイラは契約書にサインしたんだ。
で、そのサインには、村上春樹と書いてやった。
「あのひと、ネコみたいにいつもどこにいるかわからないから、
文藝春秋に連絡して、どこにいるのか訊いてちょーだいね」
という捨て台詞を残して、オイラはその絵画を持ち去ったのだった。
(嘘です。妄想でもいいからそー思うと、なぜだか心がスッキリするのです。
どーしてなんだろう?)