★「伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝」
桜庭一樹著 文春文庫 667円+税 2012.9.10.第1刷
なんかもう、読み終わったときには放心状態になってしまった。
この作品の構成とか、
主人公・浜路(山で猟師として育った少女)やサブキャラの魅力とか、
里見八犬伝の巧みな取り入れ方とか、
なにかもが素晴らしくって、放心してしまった。
特に、浜路の描き方が素晴らしい。
元々、少女の描き方には定評があった作家だという。
その力は、村上春樹を上回っていると思われる。
桜庭一樹の文章は、女・北方謙三かと思われるような、
簡潔なものだが、
そういう文体でも、ここまで・・・・・・。
文章が簡潔なぶん、物語構成の巧みさとか、少女の描写の仕方だとか、
そういった要素が大きく浮かび上がってくる。
小説を書いてみたいと思っている人にとって、学べる部分はとても大きい。
(この作品はアニメ映画化されたということで、巻末にその脚本家の言がある。
これがまたなるほどと、学びになるのだった)
桜庭一樹という作家は、
ライトノベル出身ということで、
未読の読者たちから、軽く見られているような気がする。
それは、とんでもない、大きな間違いだ。
そう理解できた読者が増えていくと、
今でも人気作家なのだろうけれど、
さらに10倍以上は売れる作家なのだと思う。
(100倍でもイイのかも、いんや、もっとかも)
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あまりに惚れ込んでしまったので、
既存の作品を全部読みたいと思っている。
ところが、書店にはそのすべてがない。
なので、ネットで集めているのだが、
中古本しかないものもあり、またその価格が不当に思えるほど安く、
桜庭一樹には申し訳なく思っている。