もうオイラ、異様に気に入ってしまったようで、
すっかり一樹の作品に、はまり込んでいる。
いちばん好きなのは、杉江松恋が言うところの「茶目っ気」。
何作か読んできたものの、付箋を貼り忘れたので正確ではないのだが、
例えばこんな表現が気に入っている。
1 ”でっぷりとした尻”:「スカイブルー」
2 ”海からはザバッザバッと潮のうなる涼しげな音が”:「少女には向かない職業」
3 ”午前零時になると、大臣の上でくるくると回る少女たち”:「道徳という名の少年」
1と2みたいな表現は、川上弘美とか山田詠美とかだったら、絶対にしないだろう。
夢枕獏だと、「ぼくは擬態・擬音語を絶対に使わないんだから」と書いていた。
そういうことを敢えて狙って書いているところが、オモロイ。
「でっぷりとした尻」
「ザバッザバッと」
最初に一瞬の笑いが来るのだけれど、その直後にやってくるのは、
「へー、一樹って、そういうこと言うんだぁ」っていう、不思議な萌えだ。
この感覚を一度味わってしまうと、他の作品にもこういう表現があるに違いないと想って、
さらに触手が伸びてしまう。
*
次にオモロイのは、各作品の有するエログロさ。
ここでもやっぱり「へー、一樹って、そういうこと考えちゃうんだぁ」っていう、
不思議な萌えに襲われる。
田中慎弥「共食い」の場合には、
「なんでこんな気持ち悪い作品書いちゃうんだろうな、あいつは」と感じたのに、
桜庭一樹がエログロ書くと、逆に萌えてしまうという不思議。
こんなのは、実に不公平な話だと思うけれど。
結局オイラは、作品自体に萌えているというより、
作品表現を通して、
桜庭一樹という作家そのものに、不思議な萌えを感じているようだ。
もう、完全に中毒患者になりはてているオイラは、
これから桜庭一樹の作品を、全部読むことになってしまうだろう。
すでに「伏」とか、買ってあるし、
これから「赤朽葉家の伝説」を読むところ。