rotusさん こんばんは。
ヘッジファンドの運用手法は様々で、良く知られているものだけでも
以下の様な手法があります。
・グローバル・マクロ
・イベントドリブン
・マーケットニュートラル
・ロング&ショート
・マーケットタイミング
・レラティブバリュー
・アービトラージ
・ディストレスト
この中で、大規模なヘッジファンドはグローバルマクロ系が多く
為替・商品・株式・債券など、世界各国の様々な金融商品を
各国の政治や経済の状況に応じて同時に運用しています。
また、イベントドリブン系やCTAも大規模ヘッジファンドですが
前者はM&Aの臭いを嗅ぎ付けて投資するのが専門なので
限りなくインサイダー取引に近く、近年大苦戦を強いられている様です。
一方CTAは原油取引を中心に、普段は商品先物市場専門ですが
チャンスと見れば株式市場にも介入し、先物だけを売買します。
そして、これらのヘッジファンドが複数介入すると
8~9月の様に相場は大荒れになります。
また相場操縦を伴うことが多いので
しばしばハゲタカファンドと呼ばれ、忌み嫌われています。
因みに、その他の投資手法を用いるヘッジファンドは
むしろ相場を盛り上げる役割を果たしているので歓迎されます。
既にご存知のことと思いますが
マーケットニュートラルとロング&ショートは良く似ていて
割安で値上がりしそうな銘柄を買い
同時に割高で値下がりしそうな銘柄を空売りする手法。
マーケットタイミングは、安い時に買って高くなれば売るという
極めてオーソドックスな手法なので、相場には必ずプラスに働きます。
レラティブバリューはアービトラージの代表的な手法で
株式に限定せず、割安な投資対象を買い、同時に割高な投資対象を先売りし
相殺して利が乗った時に利確する方法です。
従ってマーケットニュートラル同様、相場操縦とは全く関係ありません。
ディストレストは経営破綻や経営不振で財務内容が悪化した企業の債権を
割安価格で購入し、経営再建などを通じ
価格が上昇した後に売却することで利益を上げる方法なので
これも相場操縦とは無関係です。
ですから8~9月に繰り広げられた一連の相場操縦は
ハゲタカ連中の運用成績が極めて不振であった証拠だと思います。
また今年は米国の利上げを見越したドル買いで失敗したり
中国の景気後退で損失を膨らませたヘッジファンドが多く
正統派のヘッジファンドも運用成績はかなり悪化している様です。
投資のプロである彼等でも損失を被るくらいですから
今年の金融市場は、今までに無く先の予測が難しかったのだと思います。
結局今年は相場の支配者も勝ち組に入ることが難しかった訳ですが
そこに投資とギャンブルが本質的に異なる理由があります。
つまり一年を通じて、株価が右肩上がりであれば
株式市場全体のパイが膨らみますから
極論を言えば、市場参加者の大半が利益を得ることも可能です。
しかしギャンブルは限られたパイの中でお金を奪い合うので
理論的には勝者と敗者は同じ数存在する筈です。
そう考えると、必ず儲かるのは胴元だけということになります。
投資の場合は証券会社が胴元の様な存在ですが、彼等も競争が激しいので
短期投資を煽って売買手数料を増やさなくてはなりません。
そのため、次々に安っぽい情報を流しては暗に銘柄の乗り換えを促し
我々はまんまとその作戦に引っ掛かり
知らず知らずの間に短期投資に誘導されている様な気がします。
やはり投資の世界は、「曲がり屋・天邪鬼・頑固者」などと思われる方が
結果オーライなのかも知れません
*リコメが釈迦に説法的な長文になり、誠に申し訳ございません m(_ _)m