かつて藤沢のスナック門で出会った作曲家の三島大輔は、
オイラの高校時代の同級生であった男の父親だ。
でっぷりとしたその体型は、
誰がどーみたってヒッチコックそのものだった。
その時は、先物業者と一緒に飲みに来ていた。
三島の話は、異様にオモロクって、
オイラは自然と話の輪に加わってしまっていた。
ついこの間まで、三島は「みちのく一人旅」の作詞家だと思っていた。
ネットで調べたら、作曲家ではないか。
彼が作詞家だと言ったのは、スナック門のママなので、
オイラは人のせいにする。
ところで、さっきTVで偶然見つけた話なんだけど。
山本譲二が、デビュー40周年記念で、
親友である吉幾三からもらった、吉幾三制作の壺をネットで売るのだという。
リンクしたのが、その壺だ。
悪いけど、すばらしくダサイ壺となっている。
使い道なんかなさそうだし、
しかも刻まれている「吉」の字が、何ともいただけない。
その価格は11万円だという。
益々いただけない。
なので、今現在も売れてない。
ところがオイラの場合、
もう後すんでのところで、
「カートに入れる」ボタンをクリックしそうになっていたのだ。
なんとなく、オイラの直観がそのダサイ壺を買えといっている。
三島大輔との縁があるので買った方がイイと、誰かがささやいている。
オイラは今の今まで、クリックしたくてたまらなくってプルプルしている右腕を、
必至に左手で押さえていたんだ。
未だに迷っているが、
きっとこのまんま売れ残り続けていたら、
その内に値段が下がったり、何かオマケが付くかも知れない。
オイラは、その瞬間を狙うつもりでいる。
万が一、売れてしまったら、
その代わりに夢枕獏の焼き物でも、
小田原まで買いに行くからそれでイイヤと思っているのだ。
11万円あったら、相当買えるに違いない。
そんなに買ったら、ひょっとして酒でもごちそうしてくれそうだし。
そっちの方が、オモロイかも知れない。