私は、同じテーマで、過去4回「日記」を書いています。
初回は、2002年1月、このときは宮沢内閣。次は2006年10月の小泉内閣。3回目は、2010年1月の鳩山内閣のときです。前2回は株価と支持率の動きが順相関、鳩山内閣のときは逆相関でした。昨年の8月16日には、アベノミクス相場と内閣支持率との高い相関性について触れ、アベノミクス相場の最大のリスク要因は、支持率の低下と結論づけています。
内閣支持率は、経済政策推進のドライバーになるところから、相場環境を占う指標として、利用している人も多いと思います。
ところが、安倍内閣の支持率が、ここにきて急激に低下し、最近では40%を切るところまで落ち込んでいます。アベノミクス相場は、終わったのでしょうか。
原因は、内閣が取り組んでいる、
1.安全保障法制の整備
2.沖縄普天間基地の移転
3.原発再稼働
4.TPP
などの政策審議が、この夏に集中し、一部マスコミの政権批判と、与党の対応のまずさとが重なったためといわれています。
もともと政治は、いろいろな利権が混在していますから、国益の見方にしても、人によって変わってきます。上にあげたテーマのどれをとっても、戦後日本の政治体制を変える重要な案件で、失敗すれば内閣の命運を左右することになります。
経済発展と、国の安全を守ることは、車の両輪で、どちらかが欠けても、どちらかが突出しても、国の発展を図ることはできません。日本で生まれ、日本で生活することを誇りに思えるような国を、子供たちに残してやらなくてはなりません。そのための政策を掲げ、選挙で選ばれた政党が、政策を実行することが民主主義です。
どのテーマも、今年中にやっておかないと、来年は選挙の年で、大きな改革はできません。安倍総理も、与党も、その辺の事情はよく理解していたはずですから、事前の手を打ち、支持率の低下を覚悟して、政策の実現に臨んだはずです。
それにしても、夏休みのあいだに、これだけのテーマが集中したのでは、荷が重すぎるといええます。そのため、普天間で1か月の休戦を取り、TPPではニュージーランドの反対を口実にして、年末まで伸ばしたのですが、支持率は急落したままです。
株価は、経験則からすると急落するはずですが……。
意外にも株価は堅調で、今年の高値をつけるほどです。
なぜなのでしょうか。
政府日銀による株価対策、企業業績の向上、先進国の金余り、ヘッジファンドの勢力減少といろいろ開設されていますが。私は、
「政策の実行」が最大の要因とみています。 支持率を落とした「政策の実行」こそが、株価押し上げの原因なのです。逆にこれをやらなかったら、株価は依然として、高値付近での一進一退の繰り返しか、大暴落を演じていたかもしれません。
支持率が30%を切るところまで落ち込めば問題です。自民党が分裂を起こし、かっての民主党のように、総理が変わるたびに、経済・社会が不安定になります。日本の政治体制に信頼感がなくなり、国内外から資金の逃避が始まり、株価もまた失われた20年に逆戻りです。誰が買ったかわかりませんが、株価が内閣を支えたともいえます。
マスコミや反対政党は、支持率を下げたと大騒ぎしているようですが、日和見の層が増えただけで、民主党は相変わらず低い支持率です。
今回の憲法解釈変更で、与党としては来年度の参議院選挙で2/3を取り、憲法改正をする必要はなくなりました。目先の支持率に、「一喜一憂」しないで、限られた時間の間に、問題をひとつづつ片づけてゆけば、内閣の支持率は回復し、アベノミクス相場が当分続くと期待しています。