次々に「不適切会計」が明るみに出る東芝ですが、上場維持なら絶好の買い場だと言えそうです。
そこで過去に「不適切会計(粉飾)」を指摘され上場廃止になった企業について
共通の理由を探ってみたいと思います。
<不適切会計が指摘された主な企業>
◇2004年 西武鉄道
◇2005年 カネボウ
◇2006年 ライブドア
◇2006年 日興コーディアル証券
◇2007年 IHI
◇2011年 オリンパス
◇2012年 OKI
◇2015年 東芝
◇2015年 LIXILグループ (買収した企業の粉飾が発覚)
このうち3社が上場廃止処分になっています。(東芝とLIXILグループは現在調査中)
また日興コーディアル証券は、シティーグループのTOBにより難を逃れましたが
恐らく政治的な判断が働いていたのではないかと考えられています。
①西武鉄道・・・有価証券報告書に大株主の持ち株比率を虚偽記載
東京証券取引所の上場基準
「大株主10社などの合計持ち株比率が80%を超えたまま 1年を経過すると上場廃止」に抵触。
この基準に抵触していた同社は、有価証券報告書に約60%と虚偽の記載をした。
つまり元々上場基準を満たしていなかったという訳です。
②カネボウ・・・5期連続の粉飾決算(総額2156億円)と9期連続の債務超過が判明
債務超過に陥った場合、1年間の猶予期間が与えられますが、猶予期間内に解消されなければ
上場廃止になります。つまりこのケースも元々上場基準を満たしていなかったことになります。
③ライブドア・・経常損失を計上すべきところを多額の経常利益を意図的かつ組織的に計上(粉飾)
東証が、有価証券報告書への虚偽記載を理由に上場廃止とした企業は意外に少ないのですが
その主な理由は「上場する様な企業が嘘を付く筈がない」という“性善説”に基いていたからです。
つまり、上場時には厳しい審査をするが、上場後は厳しいチェックはしないとうのが常でした。
一方で新興市場は上場基準が甘いため、上場後のチェックを厳しくする必要が生じ
“性悪説”が基準になったという経緯がある様です。
勿論同社の粉飾は巨額でしたが、上場廃止処分は「見せしめ」的な意味合いもあったと考えられます。
この様に、上場廃止になる理由として、虚偽報告の悪質度や市場への影響度は勿論ですが
その判断基準は極めて曖昧だというのが現実です。
しかし一つ言えることは、西武鉄道やカネボウの様に、上場基準に照らし合わせた時
言い逃れ出来ない違反行為を起こせば情状酌量の余地は無いのだと思います。
つまり東芝のケースは「不正会計(粉飾)」に手を染めなくても債務超過に陥っていた訳では無く
最終的には、関わった経営陣の一掃によって一件落着という結末を迎えるのではないでしょうか。
因みに同社が、社長、副社長の辞任に加え
取締役の半数以上を退任させ、代わりに社外取締役を選任するという報道がありました。
金融庁による捜査は今後も続きますが、事実上主力銀行などが経営に参画することで
今回の騒動は収まるものと思われます。