[メルボルン 2日 ロイター]
ギリシャ支援をめぐる国際債権団との交渉が行き詰まり、同国の将来に対する不透明感が強まる中
新天地を求めてオーストラリアに移り住むギリシャ国民が急増している。
1940年代にはギリシャ内戦を受けて15万人以上がギリシャからオーストラリアに移住した。
現在のオーストラリア移住の波は1940年代以降、最大規模とされている。
ギリシャ出身の翻訳者ニコス・フォタキスさんは、自身が幸運に恵まれた一人だと考えている。
39歳で無一文となり、借金を抱え、妻と子ども2人を養う方法を必死に探していた。
このような状況からの「避難ルート」は、妻の出生地であるオーストラリアにあった。
フォタキスさんは6カ月前にギリシャを離れてオーストラリアに到着。
所持品はなく、持っていたのはより良い将来への希望だけだった。
「まるで、救命ボートに乗ってタイタニックが沈むのを見ているようだった」と
オーストラリア南東部メルボルンに新居を構えたフォタキスさんは当時を振り返る。
「自分は助かったけれど、船にはまだ多くの人が残っている」と述べた。
現在渡豪する移民の多くは、1940年代の移民に比べ
教育水準は高いが、経済的に余裕がない点は同じだ。
所持金ほぼゼロで入国し、地域団体の支援に頼っている。
メルボルンのギリシャ系住民は推計30万人で
本国のアテネとテサロニキに次いでギリシャ系住民が最も多い都市だ。
市内のロンズデール通り周辺にあるギリシャ系地区では、ギリシャ債務危機がもっぱらの話題だ。
ギリシャの将来への不透明感が高まる中、同市のギリシャ系コミュニティーは移民の一段の増加に備えている。
福祉団体の推計では、2013年半ば以降にオーストラリアに到着したギリシャ国籍保持者は1万─2万人。大半が二重国籍保持者またはオーストラリア住むに親族がいるという。(以下省略)