あの晩も、オイラはヘベレケに酔っていた。
自分自身のしっかりとした意識は、すでに全体の30%を割っていたと思う。
なので、あの晩の記憶は断片しか残っていない。
どこかのバーの前で、
オイラはその見知らぬ女とハチ合った。
見つめ合うこと、20秒くらいだったと思う。
「・・・・・・なんか、食べる?」
オイラの方から切り出した。
「行く行く!」
女は、あっさり付いてきた。
初めて出会ったノラネコ同士が仲良くなるのも、
こんな感じじゃないかと思った。
代行を呼ぶまでの小一時間だったと思う。
サンライズという、朝までやっているバーに入った。
生まれ星座を尋ねると、オイラと相性のイイ星座だとわかった。
気がついたら、連絡先を交換していた。
その時に、オイラは渾名をつけてあげた。
アヒル唇をしていたので、アヒルちゃん。
アヒル唇な女をみると、オイラは妙に萌えてしまうのだ。
アヒルちゃんは、「婆’sBAR麗衣子」の店員だという。
いつもの嗅覚が働いて、
後日、オイラは「婆’sBAR麗衣子」に向かうのだった。