日本無線の3/15期決算は売上高は16.7%増の1322億円と当初計画を72.5億円も上回ったのにも関わらず、営業利益は5.9%増の77億円と、当初計画の80億円を下回った。3/16期の会社計画は売上高2.1%増の1350億円、営業利益は9.2%減の70億円である。ちなみに当期利益は昨年は遊休資産の売却など特別利益の計上があった影響で今期は76%減の35億円の見込み。
コアであるソリューション・特機事業の売上高は昨年度計画よりも54億円も上ぶれて752億円(前期比6.2%増)と伸張したにも関わらず利益は1億円増の69億円(前年は90億円)にとどまった。これは3/14は利益率の高い装置の出荷が多かったのに比べて3/15は利益率の低い工事などの売上高が増加したこと、および工場集約後、物流費・外注費など販管費が増大したことなどによる。構造改革の効果が裏目に出てしまった感が否めない。
3/16期は海上機器事業で増収増益を見込むものの(売上高13%増収の429億円、営業利益53%増の15億円)、ソリューション・特機事業の売上高は防災事業の大型案件一巡で4%減の721億円、同部門の営業利益も23%減の53億円を見込む。通信機器部門も増収増益(売上高5.5%増収の182億円、営業利益は前期の18倍の5億円)となるが、インパクトが小さく、トータルで7億円(前期比-9%)の減益見込み。
昨年の費用見積もりの甘さから若干はコンサバに計画しているのかもしれないが、そうだとしてもせいぜい1割程度の上ぶれ(前期比横ばい)程度だろう。そう仮定するとEPSは28円、今の株価を基にするとPEで15.6倍。今まではバリュー株として物色される動きもあったようだが、収益回復の緩慢さ、ROE予想の低さ(5%程度)を考えるとPEで15-16倍というのは十分高いように思える。第一PBRはもう0.85倍。それも前期の純資産の増加要因(498億円から718億円)の4割は資産売却によるもので、今期の計画ではそれほど増えない。
ちなみに会社の中期計画目標は3/17で売上高1370億円、営業利益75億円、3/18で売上高1400億円、営業利益で80億円、「2020年までになんとか営業利益で大台の100億円を達成したい」というレベル。
失望売りを誘ってもいい内容で、8日の決算発表後株価は378円まで売り込まれたが、その後は決算前の水準まで戻している。450円(年初来高値は459円)に近づくようであればショートしたい銘柄である。