どうですか、「20,000円に乗った気分は?」
ふわふわした雲の上にいる気分です。下は見えませんが、周りも上も青空で、遠くに太陽が光っている、そんな世界です。
振り返ってみると、戦後の日本市場で、終値で20,000円を超えていたのは、1987年から91年までの5年間だけで、92年からは終値で20,000円を超えた年はなく、この間に3回ほど10,000円を切っています。
あの昭和バブルの始まった1984年から2014年までの、31年間の平均終値は、16,364円ですから、20,000円超えは、天井期というよりはバブルに近いのかもしれません。
「待った、待った! そんないい加減なこと言っちゃ困るよ!」突然雲の下からの声です。
「日ごろからお前は、『短期は需給、長期はファンダ』といっているではないか! ファンダはどうなっているんだ?」
「すみません! これから説明します」
株価のファンダメンタルは、EPS×PERが広く使われていますが、昭和バブルの89年末には、EPSが660円でPERが60倍でした。2015年3月末のEPSはまだ確定していませんが、仮に1,200円とすると現在のPERは16.7倍程度になります。
ファンダから見る限り、天井期ともいえません。
アメリカでは、ナスダック指数がITバブルの2000年以来の高値を更新して騒がれていますが、PERはまだ22倍だそうです。驚くことに2000年には100倍を超えていたということですから、ファンダメンタルも、ずいぶんいい加減なものだということがわかります。
日経225の今年度(2016年)のEPSは、さらに10%程度増えることが予想されますので、これをもとに日本の株価を占うと、
EPS(固定)1,300円
PER(いい加減)16.7~22倍
株価(まあまあ)21,700~28,600円
となります。アベノミクス相場が続く限り、この程度の株価はさほど無理がない(バブルでない)目標といえます。
「待った、待った! そんな夢の数字を並べたって、肝心の時期と銘柄はどうなっているんだ!」またまた、雲の下からの声です。
「うるさいね! これから説明しますよ」
現在発表中の今年度予算では、二桁台の増益にはならないとみています。業績の伸びを支えてきた円安が一服し、景気回復の実感が沸いてくるのは、秋以降になるというのがその理由です。10月以降になれば、今期の業績見通しがはっきりしてくるので、年末にかけては、上昇の余地が生まれてくるかもしれません。ファンダで見る限り、今年の高値は、22,000円程度、来年は選挙の年でもあり、29,000円もあるかもしれません。
需給で見ると、現在までの相場を支えてきた日銀は、これからも継続的に安値を拾うでしょうが、年金基金と郵貯は、ほぼ予定の株を購入し、株価暴落にでもならない限り大きく買い越すことはないはずです。政治的には、秋に上場を予定している、日本郵政グループ3社の上場に向けて、公的資金を活用したいところで、下支えに使える資金は限られそうです。
外国人も投資信託も、今期の収益の伸びが二桁になるのを確認するまで買わないでしょう。ただ、需給は相変わらず良好で、20,000円を長期にわたって割り続けることは考えにくい状況です。
今の相場の位置が天井期にあることを前提にして、「20,000円以上を誰が買うのか」を意識しながら銘柄選定をする必要があります。いつの時代でも、最後の買い手は、配当狙いの個人か、M&A買いの事業法人になるようです。
銘柄では、先頭を切って値上がりし、バリエーションが割高になった銘柄群の二番手にあって、配当利回りから買える銘柄が狙い目と見ています。
ポートフォリオには、長期に保有して問題のない銘柄だけを残し、今までに相場を出し切っているボロ株を仕込むことのないよう、くれぐれも気をつけましょう。